第25話 万引きとのエンドレスバトル

 小鳥あるみの書店ワークの日常です。


 リアル書店がどんどん減少している理由の1つに、万引き被害があります。

薄利多売の商売なので、人気作品をそのまま盗んでいかれたらダイレクトに営業に響きます。棚卸しで驚きの被害額を見るのはもちろん、日常の作業中にも在庫データが合わずに歯がゆい思いをしたことも幾度もあります。わざと高価な美術本限定の万引き犯もいます。1冊数万円の画集を盗っていくって、どういう教育受けてきたんだ!!

 書店員にとって、取り扱っている本は子ども同然です。自分で注文して箱にはいってやってきて、店頭に綺麗に並べて、お客様の手に渡っていく。我が子を見送る気持ちでレジをしております。

 そんな子どもたちを黙って連れていくなんざ、人さらいと同じだ!許せん!許さん!とあるみは常に思っています。


 長い書店員歴の中で、目の前で捕まった人も多く見てきました。そう、捕まるんですよ、結局。悪いことしていると。

 ふとした出来心の万引き犯もいれば、結託してチームで万引きに精を出す輩もいました。今回はチームで万引きしていた奴らの捕縛劇について書こうと思います。


 当時は、やたらと漫画文庫の在庫が合わないことが多く、書店内での警戒も強化していました。

防犯カメラを確認すると、怪しい男の姿がうつっていました。エレベータからおりると、お花見とかで使う大きいレジャーバッグを広げる男。どう見てもそのバッグは空っぽです。

 すると大胆にも漫画文庫の棚から本を抜いては、そのバッグに詰めまくるという荒技に出ていました。何十冊も!

シリーズ全巻や、人気の新刊をメインに詰め込んでいきます。転売する時に高くなる商品を選んでいるのは明らかです。

 

 別の日には、同じ手口で違う男が万引きをしていました。これはきっと徒党を組んでやっているだろう。全員を捕縛するために、書店員総出の捕り物が計画されました。

 やってくるのは、主に土曜日のお昼。そこそこ店内にはお客様が増え始めて、書店員は休憩に交代ではいり手薄になる。その時間帯を狙ってきていることもわかりました。

万引きGメン軍団も集結し、男手も他の売り場から招集されました。あの時ほど、フロアが男性店員で溢れたことはありません。

 出入り口にも店員が配置され、逃げることは出来ないようにして待ちます。しばらくすると、いつものバッグをもってせっせと万引きをはじめる男が!店内を出た瞬間、エレベータの中に入った瞬間に確保されます。

 確保のドタバタを見て、危機を察した男2人が逃走をはかります。が、複数犯は想定済みだったのであっという間にこの2人も捕縛されます。

 3人の万引き犯はいったんバックヤードに連れていかれます。

これまでの被害も相当なので、課長が怒りますがへらへら笑う万引き犯。おのれ、時代が時代なら両手切り落としてるからな!!!

 そのまま警察に連行されていきました。

後で聞いたら、この書店の界隈全体が被害にあっていたそうです。万引きのはしごをしていたと…


 万引き犯に、幸せな未来なんてありません。

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