第24話 こういうお叱りは、返答に窮します

 小鳥あるみのクレーム体験です。


 書店員として店頭に立っていると、多かれ少なかれクレームに当たります。これはもう確率論で、どうしても避けられないイベントだと認識することにしました。

 全部のクレームを自分のせいだと思いすぎると接客業は出来ませんw

スルースキルを磨きつつ、時に書店ではなんとも出来ないクレームもいただきます。


 〝こんな漫画売っていいと思っているのか〟

 結構言われたことがありますが、書店員にはどうしようもないです。本として問題なく流通しているものを、書店の判断で販売差し止め等はできないです。

 が、内容が気に入らないとか、こんなのを子どもが読んだらどうするのとか、お叱りを受けます。ただ黙って聞きますが、作品自体に文句がある場合は出版社に言ったほうがいいのになぁ~と思って心の中はぼーっとしていました。

 1書店にクレームを入れたところで、どうこうはなりません。読みたくないなら読まなければいいのではと。このお客様は結局何が目的なのか、と。

ぼーっとしている間に、お客様の中で勝手に決着して終了します。


 〝発売日前に売ってくれ〟

 これは協定が結ばれているので、出来ない作品があります。バーコード付近に【雑誌扱い】と書かれている作品は早売り禁止コミックです。たまにコンビニ等で早売りしているとか聞きますが、これはOUT行為です。

決められた発売日を、全国の書店が守って発売するのがルールです。

 超有名作家の作品を、深夜0時に販売することがあります。これは発売日を守りつつ最速で販売する方法だからです。普通の書店は朝10時以降、駅の売店でも朝7時以降が多いです。0時に売るというだけでどこよりも最速となります。

 いくら早く読みたくても、発売日前に売ってくれる書店はないでしょう。POSレジで管理されていれば早売りしているのもバレちゃう世の中です。


 〝値引きしてくれ〟

 この店をよく使っているから、安くしてくれとゴネられたことがあります。

こちらも出版業界で値引きNGというルールがあるので出来ません。どこの店でも、定価で販売されているのが書籍です。

 惣菜のように閉店間際にセールとか、家電のように発売から時間が経過したらセールとか見ないですよね。

 だからこそ書店の場合はポイントで還元しますよという形態になっています。

ちなみに、電子書籍はこの値引きNGルールが適用されていないのでセールばんばんやっています。

ちょっとでも安く本を読みたいのであれば、電子書籍の方がオススメです。


 法律や規則で出来ないことがたくさんある書店。真っ当なクレームはありがたいのですが、無茶な内容は控えていただければと願っています。

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