第22話 どうでもいい特技をもっています

 小鳥あるみが長年の経験で体得したことです。


 職業病といいますか、癖になってしまったことがいくつかあります。


 ①他書店を見て、センスを計る

同業には厳しい目線になりがちです。

棚のメンテや欠品状況、装飾やPOPの文言について、謎の審査員目線をやりがちです。

ここの店の特集はさすがだ。と、謎の貫禄だけ出すようになりました。

 逆に発売から3日以内に欠品していたりすると、ぷんすこします。

いつもの新刊の量では足りなくなったりする要素の考慮がな、と脳内で指導しています。本当にいらないお世話だということは理解しています。


 ②画面に映り込むコミックを当てる

背表紙をたくさん見てきたので、ドラマや映画、アニメに映り込む本棚までチェックするようになりました。

タイトルが書かれていなくても、色味でわかるという謎特技です。

 アニメも実際の風景や写真から背景を参考にして描いていることもあるので、模写が的確です。

その部屋のキャラクターにあったコミックを見つけるとほくそ笑みます。


 ちょっと逸れますが、ドラマ撮影に書店が使われたこともあります。朝早くで撮影現場を見ることは出来なかったですが、OAの日は従業員に周知されました。

 またアニメやコミックの資料にもなったことがあります。

あるアニメを見ていた時、どう見ても当時の書店の風景と酷似していました。店内のポスターや制服、棚の色なども現実とうり二つでした。

 漫画家さんが来店して、店内を撮影して作中に使用してくれたこともあります。

この棚、あそこじゃん!と、仲間内で大盛り上がりしました。


 ③コミックの大量持ち

台車を使わず、いっきにコミックを運べるという特技です。

新書だと55冊、B6サイズだと40冊は手堅く運べます。

腕のリーチを使って、腰を支点に、アゴと首で上部分は支えます。

 大量にもてるほど、機動力の高い書店員として認められます。

ただし、崩したり落っことしたりするのは御法度です。商品なので!

シュリンクの素材によっては滑りやすいものもあるので、大量持ちする時はその事情も計算します。


 ④発売日でカレンダーが作れる

紙の本に関しては、レーベルによって発売日が決まっています。

日曜祝日をのぞき、何も出ない日がないくらいです。

その為、何の新刊が出るかでその日が何日か分かります。

 今日はジャ×プ、明日は花×め、明後日はヤン×ガといった感じです。


 実生活では活きないですが、癖というか。

 現場から離れても、書店員時代の癖は抜けません。

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