第7話 はじめてのくじ販売、課金するほどヒート!
小鳥あるみ、くじ商材を取り扱った日の思い出です。
今ではもうありふれているくじ商材ですが、当時はまだ文化醸成がされていませんでした。
キャラクターのフィギュアやグッズを、書店でくじ引きにする人なんているのか?
専門店に行くでしょう。
SNSも未熟で、お知らせや販促にも疑問がありました。
そして何よりあるみには、書店員の誇りがあった!
書店で置いていいのは、ギリ文房具までよ!
本以外のもので収入得ようだなんて、どんなマーケティングなんだ!
誰だ、書店の本質をはき違えている奴は!!
と、くじ商材導入の決定とともにイッキに沸点100℃に達しました。
とはいえ、会社の決定なので仕方ありません。
社員さんに、
「くじの一発目は、ジョ×ョだから。ほら、コミックもあるしそんなに遠くはないでしょう」
今思うと、恥ずかしい程なだめられてました。まぁ若かったということで、ここはひとつ。
オペレーション対策も考えて、開店準備は完了。
最初ということで、あるみともう1人のバイトちゃんがくじ担当となりました。
カウンター脇の小さいスペースで、くじ希望のお客様を対応する。
来るわけなかろう!!!
そう思っていました。
開店から数分後、20代くらいの若い女性がくじのポスターを見てカウンターに近づいてきます。
青い髪をして、露出度高めで黒を基調とした服。パンキッシュな小物。
なんとなく、空条×倫みたいな子だなという印象でした。
彼女はおずおずと、くじを引きたいと告げます。
くじ目当てのお客様、キターーーーー!!
世界陸上並みの雄叫びを脳内再生しつつ、くじの対応をします。
「1回500円ですが、何回ひかれますか?」
「6回で」
ぺら、ぺら、ぺら、ぺら、ぺら、ぺら。
お目当ての賞品が当たっていないのは、彼女の顔を見て明らかです。
「えっと、あと6回いいですか」
これが2回繰り返されました。
それでも彼女は諦めていません。
D賞、E賞が山になりつつ、彼女のお目当てがA賞の×太郎フィギュアだと言うことを悟りました。
「あの、ATMはありますか?」
「店内にはないので、ここから出てすぐのところにございます」
「ちょっと手持ちがなくなったので、おろしてきます。荷物は置いていていいですか」
「大丈夫ですよ」
数分後、彼女は5000円ずつを3回くり返し、1時間半をこえる激闘の末、ついにお目当てのA賞フィギュアをゲットできました。
彼女も、スタッフも、雄叫びをあげて喜びました。
両手に大きい荷物を抱えながら彼女は嬉しそうに帰っていきました。
なんか、こういう喜びもあるならくじ商材もありだな。
数年後には、あるみ自身があちこちでくじを引いては、一喜一憂することになります。
くじって、いいね☆
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