第6話 制服でもオシャレはしたい
小鳥あるみの仕事服に関してのおはなしです。
当時の制服は上は白いシャツ、下は黒のズボンかスカート、そして支給してもらえるエプロンでした。
以前はすべて会社から支給してもらえたのですが、費用の問題でしょう。
エプロン以外は自前に変更となりました。
まぁすべて支給されていた時代も、制服の使い回しなのでいいことばかりではなかったです。
借りた瞬間から臭かったり、素材が肌にあわなかったりということもありました。
書店員の仕事は力仕事なのでエプロンがボロボロになるのは勲章がわりです。
動きも多く、汗もかくので、トップスもボトムも摩耗していきます。
各自、安くて丈夫な服を用意します。
学校の制服のように、あるみもどうやって個性を出していくかを考えます。
シャツやボトムの色替えはOUTです。
速攻で社員さんにバレます。
ではシャツやボトムを個性的なデザインのものにするのはどうでしょう。
これは金銭的にOUTです。
あくまで制服は消耗品なので、おしゃれ服を使用するのはもったいないです。
そうなると、エプロンまわりに個性を出していくことになります。
胸ポケットにはボールぺンを入れることが出来るので、ヘッド部分に飾りがあるボールペンを使用すると華が出ます。
ただし、お客様にサインを書いていただく時にそのボールペンをお渡しするので、若干の恥ずかしさと引き換えになります。
エプロンの前部分を支えている紐部分も、チェーン付の飾りをつけることが出来ます。
コミックの特装版についていたキャラマスコットを死ぬ程つけました。
あまりにつけすぎて名札が見えない、重みで肩がこるといった二次被害も出ます。
そしてこれも、やりすぎて怒られました。
重みやかさばりを少なくしつつ、自分の個性を出せるようなもの。
行き着いたのはピンズでした。
缶バッジだと、結構仕事中に引っかかるので、小さめのピンズを胸元上部につけるのが丁度よしです。
時に、お客様とのふれあいも生まれます。
30代くらいの女性のレジをしていると、
「あの、それってダイオウイカですか」
当時は空前の深海ブームが巻き起こっていました。
あるみも博物館に足を運びゲットしたダイオウイカのピンズをエプロンにつけていました。
ダイオウイカとクジラの捕食バトルを切り取ったピンズです。
「あ、そうです。この前博物館でゲットしました」
「そうなんですね!私もダイオウイカが大好きで。可愛いですね、それ」
他愛ない会話、地球になくても困らない会話ですが…
めっちゃくちゃ嬉しかった!!
ダイオウイカを分かってくれたお客様、きっと話しかけることも勇気が必要だったと思います。
でも声をかけてくれた!
お互いに頬を染めました。
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