君は笑ってくれるのか?

AUGA(オーガ)

第1話 開幕の狼煙

激しい雨の中、携帯の着信音が背筋を凍らせる。

「奥様が、自殺されました。」


警察からの電話


理解ができない

何を言っているんだ?いたずらにしてはたちが悪い


妻に電話をかける

不通音が耳鳴りのように


ずっと鳴っている


半信半疑だった感情が、警察署との距離が近くになるにつれ

焦りと不安にかられる


待合室に彼女の姿はない


殺風景な白い部屋

そこには

同化しそうな彼女の遺体


なんで?どうして?

もっと話を聞いてあげれてたら


朝、ともに向かう道での会話

別々の道を行く際の彼女の後ろ姿


その時振り返り、手を振る彼女の笑顔

すべてを鮮明にフラッシュバックさせる


その時の警察からの話は何一つ覚えていない


すべての力が抜けたように

帰路を歩き

いつもよりも重く感じる

扉を開く


暗い部屋、毎日聞いている彼女の声がない

いたずらに

薄っすらと彼女の声が記憶とともに

聞こえる


部屋には彼女のお気に入りのアロマディフェーザーの香り


そこに彼女はいない、、、


ベッドの温もりも


声が枯れるまで泣いても戻ってこない

自分を攻め

後を追いたくなった


もう一度君の笑った顔が見たいんだ、、、

見せてくれよ


そんな言葉虚しく、時は静かに過ぎた


自殺に追い込んだ要因はなんだ?


その時、ある日の食事の光景を思い出す


「最近仕事どう?」


「大丈夫だよ」


質問にそぐわない解答をした

一週間前の

夕食の日から彼女の行動は

少し変だったと思い始めた


その日から3日後の夜

ともに寝ている彼女に吸い取られたあざのようなものが

鎖骨のあたりに見えた


次の日 

久しぶりに営ませてくれないか?と頼んだ

優しく拒まれ

優しくキスをした

その時、抱いた肩は怯えるように震えていた


何があったんだ?


そこから彼女の遺留品とパソコン、携帯を

恐縮ながら

すべては拝見させてもらった


何も変わった様子はないが

携帯のSIMカードが入っているところに違和感を感じた


取り出すと中には

小型のマイクロチップがあった


それをパソコンで解析したら

恐ろしいものが入っていた


会社の男性社員に強姦されている彼女の動画と

強姦した男の情報が入っていた


3つのフォルダーの最後のページには

パスワードがかけられていた


試しに彼女がしそうなパスワード


ある日の休日

お互いインドアで

コーヒーと読書

談笑する時間が幸せと感じていた


その時にふと彼女が切り出した

「自分たちがヨボヨボのなった時に

寿命となる年月はいつか?」


自分たちの最後のことを考えどれだけ働いて

何年に隠居するか

明確に考えるタイプだった


その時の年月を打ち込んだ


瞬間


ファイルは開かれた。


ファイルの中を閲覧した

その時、あることを思いついた


それは”復讐”


君は望んでいないことかもしれないが

すこしは笑ってくれるかな?


私は

性別を変え、全身整形を施し

妻を追い込んだ男どもを殺すのではなく


人生を終わらす方法を

思いついた


弱みに付け込むのが男の手口

強みと憎しみを武器に

女性として、すべてを奪うと


性別と名前を変え

彼女の会社に潜入し、接触を開始した。


まず最初のターゲットは

喫煙ルームにいる男


ちょうど1人

私は彼に近づきライターを借り、タバコに火をつけた


その煙を上に吐く

やらしい目で見てくるそいつに笑みを向け

妖艶な目で見つめ

心で睨む


最初の犠牲者になることも知らずに

私は静かに煙を吐いた






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