第43話
帰宅を待ち構えていた凄腕侍女たちに湯船にぶち込まれ、全身の肉を削ぐ勢いでマッサージされ、香油を塗り込まれて。
コルセットの前に下着も最高級のお品でサラサラしっとりお肌に優しい。
お祖父様ったら、ここぞとばかりにお金かけてくれてる。
「ずっと手をこまねいておられたので、存分に甘えてて差し上げて下さいよ」
ところで、補正下着を提案しちゃったから。侍女が私の肉を揉み潰しながら下着に手を入れて「おまえはここじゃない」「君はもう少し自己主張をしたら良い」とグワシと掴んだ肉の大腿から腰まで贅肉連れ込まないで。
ふくらはぎからケツになる肉を寄せ集まってる。
筋肉はあるけど贅肉がないはずのボディからなけなしの肉をかき集めて、私のお胸とお尻が誕生した!!
ついでに骨格矯正?撫で肩に!とか腰の位置とか?なんか凄いことされた。
ちょっとゴネて、下に膝丈革パンツを履いた。万が一蹴り入れたりね。
ベルトに通したポケットバッグがマジックバッグになってて武器携帯しちゃう。
「万が一蹴るような場面はありません」
そうかな。痴漢とか酔っ払いとかいるよ。
武器は全部取り上げられても無限収納から出すけど。
私の薄いお肉さまが降伏したら、やっとお化粧と髪結い。
ハフハフ言ってる侍女怖くない?
「私はメイクの腕を見込まれてここに雇われましたのに、やりがいのない奥様とお嬢様だけ、今日だけは今日だけはリィンお嬢様を飾らせてください」
一生のお願いが如く言われちゃった。
やりがいのないは伯母と従姉か。ケバいだけだからなぁ。
「ルカさま!!私の一世一代の最高の仕上がり!!です」
私をグルンとルカに目合わせて見せる。
私のドレスは過去着たどんな衣装より豪華で、私の背中を長所、美点だと大胆なカット、デコルテは白い肌にパールのお粉。
お飾りはお祖母様や歴代夫人のものをリメイクしたものだそう。
私とルカはまるで対のお人形だ。
ルカは髪を後ろに流して、メイクで目を切長の伶俐な感じに。
私の編み込みで後ろに纏めた髪をふわふわに広げてアップしてある。
化粧は悩んだけど、甘めにした。
あえてルカとそっくりにしない感じ。じっくり見たら同じ造形の顔だけど印象操作ってやつね。
「リィン、そんな華奢だったっけ」
失礼な事を言われたけど、普段は肩幅と身長を盛ってるから仕方なし。
小声で愚痴を言う。
「コルセットと骨格矯正?なんかオーガに力尽くで締め上げられたり、骨いじられた気分」
「俺たち、オーガにそんなことされたことないじゃん」
ないよ!されてたら死んでるし!
それくらいの雰囲気だったのをお伝えしたのだよ!
ところで、セニョーラ・アンドレイの衣装は、デビュー用の白に私たちの髪の色で銀刺繍、アクセントに瞳のタンザナイトな色合いの石を使っていて、自分で言うのもなんだけど、ルカと二人でいると神秘的だ。
「おお、二人とも!おれの弟妹とは思えないほど麗しいな」
ベン兄さんが部屋に入って来て、一瞬でも泣きそうになってからハグをしてくれた。
「父上も母上もずっとお前たちにこんな衣装を着せたかったはずだ。見せてやりたいな」
感極まっちゃってるけど、私たちはデビュタントを望んでなかったし、ドレスやスーツより冒険者装備が好きだ。
「俺にもっと商才があったらな。俺が家のためにと決めた結婚相手はアレだったし・・・」
ズーンと落ち込まれちゃった。
「兄さん!アレとか結婚しなくて済んでよかったじゃん!正直言って趣味が悪いと思ってたけど、もう無しだから!!」
「そうだよ。ジュダスのお嬢様はいい感じなんでしょ!」
兄さんはおおらかだけど、落ち込むと長い。父さんに似てるかな。
「もし、そろそろ玄関ホールにお越しください」
執事のジョルジュ何呼びに来たのでみんなで向かう。
階段を降りていると大声が聞こえて来た。
「其方たちは今夜は呼ばれておらぬ」
「どうしてよ!あの子たちが出られるなら私たちも招待されているでしょ」
おわー。オークがブヒってる。
「今宵の宴はアロンド公爵主催のジュリエッタさまのためのものだ。お前たちは場違いを犯す気か」
冒険者云々は言わない方向。
「じゃぁあの子達も行かなくていいじゃない」
そのあの子たち、後ろにいてますです。
「黙れ!ジャビナ、呼ばれてもいない場に出て家名を汚す気か」
お祖父様ファイト!
なんか、ジャビナとデボナ、もしかしてピッグスも?香水・・・汚臭?が。
体臭はフレグランスとかのやつか?
真夏の通勤電車か?一週間洗ってない靴下か?
これが魅惑のフェロモン?
引っかかる人いるの?マニア?
だれかーーーー!!!
ファブ○ーーーーーーズ!!
しょぉーーーーし○ぅーーーーりきぃーーーーー!!マッチョ兄さーん!
マジか?これがジャコウの香りとかフェロモンなの???
コルセットぎっちりもあって気持ち悪くなって来た。せっかく綺麗にしてもらったのに、臭いが移ってたら泣ける。
「お前たち、離れから一週間出てくるな」
またしても離れ監禁が確定した。
執事と従者が羽交締めにして連れて行こうとしてるけど。オークばりに元気なジャビナが善戦(?)足腰丈夫だな。
「なんであんたたちだけそんな綺麗な衣装着てるのよ!ルカぁ!私をエスコートして行きなさい。リィンはピッグス兄さんがすれば良いんだから」
ルカと二人嫌な顔になっちゃった。
「なんでせっかくの人生一度きりの慶事でお前らと?ベン兄さんもお祖父様もいるし、お前イラねぇだろ」
ルカの真顔でのを詰めは怖い。トラウマものだ。
元々仲良くしてない、嫌味しか言わないのになぜ絡もうと言うのか?
あー、〈除菌消臭〉かけて良いかな!?
魅力的とか思ってるなら可哀想だ。
「もう良い。アレらは放っておいて夜会に向かおう」
お祖父様が私の手を取って、
「二人とも大きくなった。よくここまで育ってくれたな」
そう言って印章付きの指輪ををくれた。
「これはデガード家を動かすことが出来る」
ン?屋敷が変身合体するの?
「今のままではアレに跡を継がす気はない。いずれ、ハンスかジャンに渡して起きたい」
要するに、お祖父様に何かあった時の保険で当主代理権を渡された。
「お祖父様。それなら父さん化兄さんに直接言うべきです」
このままだとルカか私になっちゃう。
「そう言うな。ワシに何かあった時点で遺産や証書、継承の儀、全てその指輪がないとできない事だ。やりたくないと言うなら託すにふさわしい者に渡せ」
難問題かー。
出がけに言う話じゃないよね!
もう夜会行きたくないよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます