第42話
公爵が独壇場のままなので、私たちはずっとビュッフェを堪能。
砂糖漬けも山盛りあったのでもひたすらかりぽり。
離れてみてるとパワーバランスとか付き合い方とか見てられるから、ちょっと面白い。
今後のお付き合いが必要ない相手だからブラックリストまでは作らないけど顔は覚えておこうかな。
貴族依頼は断るから関わらないはず!
「主催のアロンド公爵はよくも悪くも公正だ。無理は通さんが見ての通りの親バカだ」
デザート食べながら、中央眺めてたらギルマスが絶賛死んだ顔の娘を褒めちぎっている。
親バカならおバカ王子の婚約破棄宣言は腑が煮え繰り返っただろうな。
アロンド公爵の嫡男はあまり楽しくなさそうに別団体で集まってる。
「ちょっと~!なんでずっとご飯なのぉ?」
「私たちも話に混ぜなさいな」
普段の冒険者ルックより露出度が少ないお姉さんたちが混ざって来た。
「もぅ!ギルマスまであっちほったらかしだから私たち下位貴族に勧誘されて面倒だっのよ」
彼女たちは私とルカが王都で活動を始めた頃に何かと気遣ってくれた〈悪戯な猫〉のキャッティとメリンダだ。
他のメンバーは酒を運んでる給仕に絡んで飲んでる。
彼女たちは小柄な私たちを心配して良く食事に呼んでくれたり、近場の依頼に付き合ったりしてくれた。
「ずっと行き違いだったからやっと会えたわね」
どうやらゴブリンの調査に向かった中にちょうど別件で現場近くの町に来ていた彼女たちもいて、調査報告に戻る途中にジュリーさんたちが暴走して奥地に進んでいくのを見つけたらしい。
調査隊で相談の結果、〈悪戯な猫〉は報告優先で他の隊が現場に残っていたので、私たちはキャッティたちに会えなかった。
そして入れ違いに報告の照らし合わせに現場にって、とことんすれ違い。
「やーん、リンクってば今日もイケメン~」
「リュカちゃんだって美人よ」
んー。ルカと私に対して褒め言葉逆じゃない?複雑な気分になっても良いよね?
キャッティは妖艶なお姉さん、メリンダは知性的なお姉さん、〈悪戯な猫〉は五人とも料理が苦手でいつもたまり場にしている食堂で奢ってもらっていたよ。
彼女たちは優しくて明るいので人気者。
おそらく三十前後だけど年齢は聞かないお約束だ。
「しっかし、強いなら戦えって暴論よね」
「戦えたとして戻って来れなかったら責任取ってくれるの?って思うわよ」
「あんなんに絡まれるなら拠点を別の国に移した方が良いわねぇ」
移すのは賛成!!
「おいおい、貴重なAを誘導するな」
「良いじゃない」
ギルマスもついでに出れば?みたいな話をしだす。
まぁ、冒険者の命を軽んじてるのは何もジュリーさんだけじゃない。貴族って生き物は自分たち高貴な血筋の者以外は、使い捨てでいくらでも補充が効く獣くらい思っている連中もいるからね。
爵位でだって同じ貴族でも価値が違うんだから、平民なんてそれ以下ってナチュラルに思ってる。
他の国でも似たようなのはいるだろうけど。
今回まずかったのは、王子の婚約者だったアロンド公爵令嬢があの考え方だったって知れちゃって、貴族の本音はそうなんだって、冒険者の心に疑念を生まれさせてしまった。
高貴貴族はそんな考え方を普通にしてるってね。
ぶっちゃけ、それでもいいのよ。仮に王族がそう思っていたとして、表に出さなければ。
それで下々のことは人任せに、口先だけ正道を垂れ流しててくれればさ。
彼女は下々の場所に降りて来ちゃって、口も手も出しちゃった。
現実を知ってしまったから、この先に黙るかとことん正義とやらを押し付けてくるかもってなると、めんどくさいってなる。
「ただの愚者の方が周りは楽なんだがなぁ、ああ言うのがたまに救世主になったりもするんだぞ」
へー、過ちを悔いて悟りを開くみたいな感じ?
「それに付き合うのは冒険者じゃなくていいじゃない?」
「日々の暮らしに必死な庶民は巻き込まれたくないのよぉ〜」
お姉様たちは弱者に優しいけど、貴族には辛口な方。
「自由と日銭の為に冒険者になったのよ」
「「同じく」」
お前ら夢がないとギルマスは苦笑する。
「あら、ギルマスは勇者にでもなるって冒険者始めたの?」
「いんや、剣振り回し放題でネエちゃんにモテるって聞いたからだなぁ」
うわぁ。バンドマンやお笑いの人みたいなこと言ってる。
しょうもないことで盛り上がってるうちに、解散の時間になった。
公爵的には冒険者と交流して、契約したり紐付きにしたりを狙ってたんだろうけど、野心家な中級冒険者は口説けても、アウルやジャックのような高ランクは当たり障りなく言質を取られないようにのらりくらり。
なんとなくジュリーさんの視線は感じたけど、知らんぷりでギルマスとキャッティたちと会場を後にした。
「ねぇ!久しぶりに一緒にご飯しない〜?」
「まだメシ入るのかよ!?」
嬉しいお誘いとギルマスのツッコミに笑いながらも、
「ごめんね。一旦帰らないとまずいんだよ」
と断るしかない。
「あらぁ、用事があるなら仕方ないわ」
「うん、王都出る前に一回声かけるね」
「「絶対によ」」
そんなわけで、お祖父様のもとに戻る。
今度は夜会かぁ。
兄さんと簡単に会えなくなるだろうから、思い出作りだと思うことにしよう。
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