第34話

 双子がかなり性格悪いですが、とことんヤるのは馬鹿をやる相手だけなのでご容赦を。



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 それから数日、兄さんはジュダス家に行って。

 私たちはお祖父様とお祖父様のお付き合いのあるご友人方に挨拶に行った。

 何故に?とごねたら、権力者はうまく使うものじゃと返された。

 冒険者への不可侵があっても面倒な相手に対しての防波堤になる付き合いは持っておけって。

 貴族抜けたいから繋がらなくて良いのに。

 時折り、伯父一家の粘着質な視線を感じる。

 働かずも飯食べれてるんだから、余計な考えを持たない方が身のためだよ。


「いやぁ、若き日のソニアさまとマーシアさまを思い起こされますな」

 行く先々で、母さんと母方のお祖母様の話をされる。

 マーシアというお祖母様は、母さんを伶俐にした感じの美人だったそうで、私たちはお祖母様により似ているタイプだったそうだ。


 お祖母様もかなり男に好かれる人であしらうのが上手く、お取り巻きのような男性がたくさんいた。本人は全く望んでなく迷惑してたそう。


 お祖母様が私たちに近いなら、母さんは御しやすそうな控えめな感じが狙われた原因かもね。雰囲気だけで実際はわりとキツいタイプなんだけどねぇ。


「今まで表に出てこなかったのが勿体無いですな」

「うちの息子に婚約者がいなければな」

「娘がもう少し若ければ・・・」

 

 お祖父様のご友人たちが好き勝手言う。

 地味メイクで過ごした私とリュカが凡庸だと判断して放置してただけだろうに利用できそうとなったら残念がる。


 そんな面倒な相手との会合を数組させられて不機嫌MAXな時に従兄妹に絡まれた。


「おい、祖父さまのお付きを気取っても後継は譲らないからな!!」

「そうよ!ブス!!どんな集まりに出たってあんたなんか婚約の話なんてないんだから」


 めんどくさいなぁ。

「爵位なんか望んでない」

「ドブスにブスって言われても?」

 

 ピッグスとジャビナはブサイクと言うほどではない。

 母方似なんだろうなって顔で、祖父さまに似てないし、性格の悪さが表情に出てるから歪んじゃってるよね。


 馬鹿を相手にすると馬鹿をみる。が、馬鹿は相手をしてもしなくてもしつこい。

 本当にしつこい。


 ので鼻っぱしらを叩き折っておこう。


「言っとくけど侯爵家の後継には一族の長老会が認めないとなれない。いまだに伯父上がなんの権限もないボンクラ扱いなのを考えてみたらどうだ?」

 ルカがピッグスに現実を突きつける。

「私は釣り書が子供の頃から来てたんだけど、お前に何通来たんだ?」

 子供の頃、母に似た容貌に目をつけられてだけどね。地味メイクを始めてからは減ったけど、貧乏子爵家って言うハンデでも来てたよ。あと迷惑な元王弟とかだから自慢出来ないけど。


「あと、ピッグスも婚約者いたんだっけ?」


 賢い貴族ならいい歳のお祖父様が引退せず息子に譲ってない時点でその息子と子の未来も見限ってるだろう。

 顔を真っ赤にさせてるけど、侯爵家の嫡男ならそれこそ引くて数多なはず。


「・・・」

「あー、ジャビナ、学園まだ通ってるんだっけ?」

 そうだった。私たちはジャビナより学年が下だけど、スキップするために授業はほとんど免除でテストと課題提出だけ頑張ったから、学園であってないんだよね。


「顔のことばっか言うけどオツムの出来も婚約話に有利かなぁ?」


 私は結婚したい気はゼロだからどうでもいいんだけどね。

 バーカバーカって感じで指で頭をコンコンして見せちゃうね。

 ジャビナがプルプルしてる。

 言い返せないなら喧嘩売らなきゃいいのに。


 ピッグスも毎年留年スレスレだったらしいよ。お金かけて家庭教師雇ってもらえただろうに勿体無いことだ。


「何をしているんだ?」


 従兄妹に絡まれた場所が玄関ホールだったので、外から戻ってきた兄さんに見られちゃったよ。


「「兄さん、おかえり」」


 ベン兄さんがピッグスとジャビナを見て状況を察したみたい。


「うちの双子に絡むのはやめてもらう。お祖父様から俺たちに接触しないように言われているだろう?」


 あれ?ベン兄さんが精神的に逞しくなってない?

 年上でお祖父様に少し似てる兄さんに睨まれて悔しそうな顔ですごすごと離れていった。


「全く、喧嘩を買っちゃダメだろう」


 一緒に部屋まで戻ってラフな格好に着替えた。


「冒険者としてでも上に立つ立場になったら鷹揚に構えるようにな」

「兄さんみたいに?」

「・・・そうだな」


 兄さんは子爵家次男生まれで男爵家に婿入り予定だったから、学園での勉強に少し足すくらいで済んでた教育が、伯爵家への婿入りに代わって、ジュダス家の意向で領地運営や文官相当な教育が必要になったんだそう。

 また態度も人に舐められないように弱腰はダメだと徹底されてるそう。

 大変~。

 ジュダスは伯爵家の中でも歴史は深い。

 婚姻相手のお嬢様は前の婚約者が病没して次の婚約は同年代では見繕えなくて困っていたところ、ベン兄さんがこう言った状況になったのでお祖父様とジュダス伯爵のお互いの

利害が一致したんだね。

 

 余ってたピッグス・・・は侯爵家を継ぐつもりでいるから?いやウンコだから声が掛からなかったんだ。


 お嬢さんだってウンコと結婚できないよね。うん。


「自由で柵がない生き方って難しいんだね」

「・・・そうだな」


 兄さんがバーボン片手にタバコを吸って煙をふうぅっと吐いてるような幻覚が見えたよ。







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