第20話
アルガとパスクの中間時点で馬車が急に止まった。
わかってたので私がファナ、ルカがネルを抱えて、ベン兄さんは自力で衝撃に耐えた。
「ほんとに襲われたのか・・・」
ベン兄さんは半信半疑だったから眉間にグッと皺を寄せた。
「先に彼らに注意してやったほうが良いんじゃなかったか?」
ベン兄さんは護衛に危険を伝えたら馬車を止めずにいけたと思ったみたい。
アイツらのレベルだとちょっと無理かな?
「えー、アイツらきちんと仕事してたらもう少し先に動けたと思うよ?」
「舐めてたから、仕事舐めるとどうなるか学ばないと」
実力的にD寄りのCランクなのに侯爵家からの依頼を舐めてかかったんだから痛い目見ても良いと思う。
「お前たちわりと気が荒いな・・・」
父さんたちと兄さんたちが穏やか過ぎるんだよ。だから嫌がらせがなくならない。怒らないから。
とは言え、馬がやられたりジョルジュに怪我でもされたら祖父さまに何言われるかわからないからそろそろ出るか。
「ファナ、ネル、ちょっとお昼寝してて?」
誘眠剤の瓶の蓋を開けて二人に嗅がせればすぐに眠りに落ちた。あ、合法安全なやつだよ。今使ったのは私特製ハーブの軽いやつ。
魔導師謹製品は取り扱いが厳しくて、ギルドから所持の許可が取れてから貰える。私たちも一応持ってる。
要救助者が暴れてどうにもならない時用に使う素敵なお薬なのだ。
暴れる大人は面倒だからちょっと掛けちゃう。だって緊急時だもの。だから悪用してバレたときは罰則が重いよ☆
今回はファナたちに戦闘を見せるわけにいかないから自作のでね!危険物だから言い訳しとかないとね!(誰にだ)
私は簡素なドレスを脱ぎたいのを我慢して剣帯と剣を出して装備する。ルカも同じく。
魔法はまだ祖父さまに教えてないからジョルジュの前では自重。
兄さんに簡易結界の魔道具を渡して私たちが降りたら作動させるように伝える。
「お前たちは大丈夫なんだろうな?」
心配はありがたいけど人間相手は躊躇しなけりゃ魔物より容易い。
倫理観の問題だけど、盗賊も野盗も人を殺すし女子供、時には男も犯すから遠慮はしない。
「まぁ見ててよ」
「私たち案外やれる子だよ」
馬車から降りると魔道具が作動して兄さんの心配そうな顔が見えたので手を振っておく。
護衛たちを見るとちょっと苦戦してる。
マジで侯爵家ったら予算をケチったんじゃないだろうか?
「なんだぁ?ガキ二人が出てきたぞ」
失敬な。ルカ(私も)はまだ16だから~じゃなくて、一応結婚できる年になったとこだ!
「おい、なんで出てきた!!?」
あ、一応職務遂行する気あるんだ。
「こんな野盗に手こずってるからさ」
「な!!」
一応生け捕りしないとね。懸賞金か報奨金が出る。お尋ね者だとラッキーなんだけどな。ボロ儲け。
野盗は全部で九人。少ないな。もしかして本隊が別にいるかもだけどルカのサーチには引っかかってない。
長引かせる気もないんで、《俊敏》で動いて一気に野盗のアキレス腱を切っていく。
野盗が痛みで崩れる時を狙ってルカは剣の柄で手首を一撃入れて骨を砕く。早業だ。
「「うぐぁ!!」」
あ、足痛めちゃったからコイツらどうやって運ぼう?
「アンタら・・・」
護衛が呆然としてる。
「さっさと捕縛して」
逃げれないように足を斬ったし、反撃を出来ないように手首砕いたけど切羽詰まったヤツは思いもよらないこするからね。
護衛たちが慌てて捕縛してる中ジョルジュが降りてきて。
「ルカさま、リィンさま、ありがとうございます」
なるほど。敏腕執事は取り乱さないし、あえて質問もして来ないのね。あとでこっそり調べると。
「野盗の連れてた馬に乗せて運びましょう」
馬は五頭相乗りできたから運ぶのも二人括り付けるので行けるか。
護衛は一頭ずつ馬に乗ってきてたから野党の馬を一頭ずつ並走させるそうだけど、一頭残る。ジョルジュが「私が」って乗ろうとしたのをベン兄さんが「慣れない馬はジョルジュにはしんどいだろう」って。
結局兄さんが乗ることになった。
剣をしまって馬車に乗り込むとファナとネルが気持ちよさそうに寝ている。
「可愛いな」
「ああ」
やっぱりこの子達の未来のためには悪縁を断ちたいな。
パスクに着いて門番に野党の報告と身柄引き渡しをしたらギルドでちょっと良い金額がもらえた。
野盗の馬もまぁまぁな金額になった。手入れの仕方が素人だったがそれなりに大事にしていたっぽい。
馬も盗まれた馬だろうけど。
護衛にも分けたらビックリされた。
彼らの態度は改まったしまだ王都までがあるから多少飴もね。
今夜はパスクに泊まる。
一旦宿に入ってから兄さんと目を覚ましたファナとネルを街ブラに誘った。
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