第13話

 洞窟周りに着くとへばってる冒険者が死屍累々?表現合ってる?

 いや生きてるから間違ってるか?

 顔見知りの冒険者が結構いるから生きてるのは良かったけど結構ヤバっぽい?


 バレない程度に広範囲で弱めの《ヒール》を掛けるとルカが少し睨んでくる。

 私がちょっとだけ罪悪感をやわらげたいだけだから見逃して。

 人目のないところで荷物を取り出して救援物資を渡す。

「ああ、白銀の双竜、来てくれたか」

 そのあだ名で呼ぶなー!

 二人っきりのコンビだしパーティ名を付けてないから何故か勝手に二つ名を付けられたんだよ。名乗ってないのにね!


 足を痛めたらしいDランクのおっちゃん。他のメンバーと一緒に物資を倒れ込んでる連中に配る。

「中の様子どう?」

「酷いぞー数が多すぎるのと中が迷路のように入り組んでる。メイジとウィザードもいた」

 うえー、面倒。 

 入り口全部塞いで蒸してやりたい。内部が入り組んでるなら無理かな~。


「あとなんか小綺麗な姉ちゃんが奥の方いっちまったんだよ」

 ・・・うわぁ。こっちにいるのか。

「止めたんだがDランクだから大丈夫だってなぁ」

 あのお嬢様、Dか。魔力はさすが公爵令嬢で王家に入る予定だけあったけど、冒険者として活動出来る時間なんて無かっただろうに大したもんだ。お付きのマグナムも結構強そうだったけど、ランクはお嬢様と同じくらいだろうな。


 しかし、ゴブリンメイジ単体ならいいけどウィザードがいて数が多いんじゃキツいはず。

 あの臭い連中の棲家で気力や鼻がいつまで持つか。

 今だって洞窟から腐臭が漂ってるんだ。


 正直行きたくないけど洞窟に向かう。途中でルカと共にお手製防毒マスクを着用。

 物々しいのじゃなく鼻と口を塞ぐ大きめの黒い皮のマスクを作って、魔道具化させた。まぁ前世だったらハードロックが好きなんかな?くらいのやつよ。

「気配が多いな。こんな連中が《探知》に引っかからないなんて悔しいな」

「いやどんな範囲の《探知》しようとしてんのよ!無茶言うなって」

 ルカが悔しがってるけど、ゴブリンを見つけたところから結構離れてる。ここまで《探知》が出来たとしたら逆に見え過ぎて精神を病むよ。

 ちょっと高ランクでも50メートル四方って言ってたよ。

 ルカは1キロ四方イケるんだから大したもんなのに。

 私はめんどくさくて500メートル辺りで《探知》鍛錬やめてる。


「あのジュリーって子、動いてないな。隠れてるのか?」

 《探知》に引っ掛かるなら生きてるんだろうけど動いてないとか言われるとドキっとするよ!


 流石にノーマルなゴブリンはこの辺りにいる分の討伐は済んでるみたいで足場がさまざまな処理法で倒されたゴブリンだらけ。

 これは過去の記録にも見かけないくらいの大きな巣だね。

 この死体の山を処理するのも骨が折れそう。

 気配の濃い方へ進んでいくといきなりファイアボールが飛んできた。

 エアシールドで弾いたけど、ゴブリンウィザードが次々魔法を放ってくるので腕に装着させてたボーガンを展開させて反撃。

 随分と舐めたゴブリンウィザードめ。

 反撃されると思ってなかったのか弾くこともせず吹き飛んだ。バカなの?


 奥にたどり着く手前で結界魔法を展開させてるお嬢様を発見。

 魔道具か。さすが公爵家って感じの持ち物だね、いろんな攻撃を受けていてもしっかり冒険者20人くらいを守ってる。


 死んでる人も確認したけど、大怪我をしてる人は死に直面してる感じではないのでとりあえずスルーして攻撃をしてくるメイジとウィザードをまず切り捨てる。

 ルカが打刀を華麗に振るってるからたまにこっちに首が吹っ飛んでくる。確かに飛んでくるのは迷惑だね。


 ここまで統率が取れて大きな巣を構えてる以上、ゴブリンロードが居るのは間違いない。

 お嬢様が何か叫んでるけど、先にトップを潰さないと他に潜んでるのを呼び出しされたら面倒。

「リュカ!」

「ああ」

 《鑑定》で調べてみれば奥の間に冒険者の気配がある。もう終わる?そうだといいな。

 ゴブリンの下級のはもういないけど、ホブゴブリンやゴブリンライダーが残ってる。

 ここまでくると臭いがキツすぎて冒険者たちの思考が鈍るんだろう。動きに精彩をかいてる。

 いや不眠不休だし普通にきついか。


 とりあえず戦闘中のゴブリンを奇襲で攻撃して片付ける。

 息の荒い冒険者達にポーションを投げて私たちはロードのいるところに移動。

 ゴブリンのくせに玉座っぽいのに座ってる。生意気~。

「ルカ、空間を遮断するから魔法使っていいよ」

 さっきの冒険者達が入ってこれないように、これからすることを見られないようにする。

 これで普段隠している能力を使える。

 まぁゴブリンロードくらいなら能力全開でなくても良いけど、とっとと済ませてこの洞窟から出たい。


 ルカが氷結魔法で足場を奪ってから火炎魔法を打刀に纏わせて一気に切り捨てる。

 まぁまぁなレベルのロードだったけど、こちとらゴブリンやオーガなんて嫌ってほど屠ってきたのよ。

 一番よく出る手頃なポイント稼ぎができる依頼だもの。


 火に巻かれたゴブリンロードは高温の炎で一気に燃え尽きて、そこそこのサイズの魔石が転がってきた。

 玉座に周りには人間の女性の衣服を纏った白骨化した遺体が数体、バラバラに散らばっている骨の中に比較的小さな頭蓋骨がいくつか。

 ここの巣が形成されて数年は経ってるんだろうと思われる。

 胸糞が悪いけど、人里から結構離れたダンジョンも無いこんな奥まではなかなか手が回らないのも仕方ないこと。


 さっきの場所まで戻ると結界を解除したらしく冒険者が動き始めていた。

「あなたたち!こんなに強いならなんで最初から参加してくれないのよ!!」

 私たちの顔を見るなり、お嬢様が私の胸ぐらを掴んできて罵しってきた。






 


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