第7話
身体を拭いて、一応〈洗浄〉魔法も使ってから、着替えを済ませてルカの元に戻る。
私もルカも旅装から中流貴族としての身嗜みに戻してる。
と言ってもかなり控えめだけどね。久しぶりに帰って来てご馳走(我が家比)なので正餐用?まぁそういう感じで。
「久々にリィンのドレスアップみた気がする~」
お互い様な事を言うルカを軽めに突いた。
「ルカも喋らなきゃイケメン~」
まぁこんな格好も家を出るまでよ。
んー、冒険者ランク上がるとパーティやら召喚やら着なくちゃいけない可能性もあるかな。
出来れば、Cランクで安定させたいんだけど、権力が圧掛けてくる場合はBランクくらい狙わないとね。
冒険者ギルドは国に属さないから、基本は命令も無理強いも出来ない。
でもやっぱり多少はあるので。
Sランク---王侯貴族の干渉を受けない
Aランク---侯爵同等
Bランク---伯爵同等
Cランク---子爵同等
Dランク---騎士爵同等
Eランク--- ナシ
Fランク--- ナシ
Gランク---見習い
貴族同等って言っても身分や権力なし。ただいざとなればそれくらいの権限があるよって言う目安。
権力で無理強いしてはいけないことになっているけど、権力でゴリ押しする輩はいるからランク制度はそれなりの盾になっている。
母狙いの変態避けを考えるならAランク目指すべきなんだろうけど、流石になぁ。
Cランクより上は緊急依頼や招集にも応じなくちゃなのであまり上に行くと自由度が減りそう。
まぁ何だかんだ言ってもお祖父様が絶妙なラインで庇ってくれるからあまり心配してない。ファナとネル連れてご機嫌伺いに行くのもアリかも。
「お嬢様、坊っちゃま、ベンさまと後婚約者のジャクリーンさまが参られましたのでティールームの方へ」
マイケルが呼びに来たのでネルとファナを抱き上げて一緒に向かう。
「まぁ~!!本当にお二人ともお母様そっくりで麗しい事!!」
「お・いー、ジャッキー」
突然大きな声で私たちに母さんのことを言ってくる女とか。
「こんなに綺麗なのに学園で相手探してこなかったって本当?勿体無いですわぁ」
今回初めて会った次兄の婚約者は結構強烈だな。
これはもう猫100匹被って耐えるしか無いよね!
「あ、そうだわ。うちは婿養子をとるんだからルカくんでも良いじゃ無い?ベンはモテるからルカくんと交換しても困らないよね?」
あ、猫飛んでっちゃいそう。
なに言ってんだ?
「おい、ジャッキー!」
「良いじゃないの、ベン、婿入り先なんてあなた引くて数多なんだし~」
一応恋愛で結ばれて、義務での見合いじゃ無いはずのにこの言い草。
「・・・俺は兄貴の女と付き合うのは嫌だ。キメェな!」
ルカもブチ切れで言葉遣いがお悪いわよ。
「な!!相手を見つけられなかったんだから得な話を持ちかけただけじゃ無いの!!」
「何も得じゃねぇし、そもそも相手探してもねぇわ」
キンキンと捲し立てるジャクリーンに淡々と返すルカ。
「兄貴、この女と結婚するなら俺は絶縁するからな」
「あ、私も!ルカにも兄さんにも有り得ない言い分だもの、お付き合いできそうに無いわ」
ジャクリーンは顔を真っ赤にさせてプルプル震える。
「何よ!貴方達!!学園で婚約できなかったらあとは再婚や評判の悪い相手しか残ってないんだからね!!」
いや、そもそも結婚願望ないしー。
「だからって余計なお世話なんだよ。しかもうちの大事な兄さん蔑ろに言うって何様なの?」
久しぶりに本ギレのルカちゃんカッコいい。自分のことなら怒らないけど、家族や仲間のことなら怒ってくれるんだよね!
「今日は一応祝いなんだよ。気分悪いこと言ってくんな」
心底冷めた目で低めに声を出してる。
「ベン!!なんで何も言ってくんないの!!庇ってよ!!」
分が悪いとなったらさっき捨てようとしてた兄さんに当たるジャクリーンにイラっとした私。
「いや、庇えねぇわ。交換とか俺たち商品かなんかなの?俺の気持ちどこに持っていけばいいの?」
「・・・・・・」
ギロってすごい強い目で睨みつけて来てからの。
「婚約破棄だわ!!!慰謝料貰うから!!」
「いやお前が払う方だから」
思わず突っ込んだ兄さん。グッジョブ。
「なんでよ!?」
「お前が言い出したことで、お前が破綻させたの。わかる?」
ちょっとした出来心で記録石起動させてました。サーセン!
「証拠もあるし、堂々と争えるよ?」
ジャクリーンは口をパクパクさせながらどんどん真っ青になる。
いくらルカがいい男だからって交換はないよねぇ。マジ発想がキモイ。
結局ベン兄さんはジャクリーンを連れて男爵家に送ることに。
記録石も渡しておくから美味いことやってね。
婚約者の交換なんて普通にあることなの?
世情に疎いからリィンわかんなぁーい☆
ベン兄さんが別れるか知らんけど、あー言うタイプは私無理。
「あー香水クセェ」
ルカがぶつぶつ言いながら窓を開けて歩く。確かにちょっときつかった。
兄さんの趣味悪くない?
せっかくのお茶とお菓子がダメになっちゃうじゃ無いか!
マイケルが美味しく淹れてくれたちょっと冷めたお茶を飲んで一息吐いた。
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