第6話
実家のあるガラムの町の一個手前の町に着いた。
ここで新鮮な食料とか少し買い足して、アイテムボックスからトランクを合計四つ出して、そこそこの服に着替えてから、辻馬車に乗る。
学園から帰省する時はいつもこのコースだった。
流石に徒歩で帰ると家族が気にするからね。アイテムボックス持ってるのも教えてないし。
馭者のオジサンは顔馴染み。流石に領主の家の者だってのはバレちゃってるけど、田舎だからそう気負った態度をされない。
「坊ちゃん、嬢ちゃん、次のお迎えはいつかな?」
「あー、私達学校卒業したからとりあえず王都には当分行かないんだよ」
「へぇ!!さすが賢いねぇ!」
この辺りには庶民用の学校と少し生活力のない家の子供達用の塾のようなものがある。
ぶっちゃけ私たちも町の学校で良かったんだけど、貴族だからってね!面倒だよ。
1時間ほど馬車に揺られて実家に辿り着いた。
「オジサンありがとう~。また買い出しの時によろしくね」
いちおうこの辺りでは大きい方な屋敷なので門を通ってから少し歩く。
門番とかはいない。貧乏だもの。
少し歩いたら家の方から子供が二人走ってくる。
「姉様~兄様~」
「おかえりぃ~」
可愛い。ネルは結構背が伸びてて、ファナはちょっとおすましになってるかな?
勢いを殺さないまま飛びついてきて腰に結構なダメージがきたよ。
二人がまだ小さな手でトランクを取って運んでくれようとしてて。
ルカが「先に母さん達に帰って来たって伝えて」って言えば、「「わかった~」」って走って行った。
「二人とも父さんの方に似て良かったな」
ルカがしみじみ言う。私達は母に似たからわりと子供の頃から騒がれたからね。
学園では隠蔽のおかげで無事過ごせたけど、魔法が使えてなかった頃は近隣で噂になった。幸いお茶会など呼ばれ出した頃は多少誤魔化せる程度の能力を得たんだ。
学園でも情報を持ってたのか多少探されたけど上手く避けたり逃げ切ったりね。
どうも母さんは【魔性の魅力がある】みたいなそんな言われ方が定着してて噂の一人歩き感が半端ない。
今でも変な横槍があるにはあるけど、ギリギリ父の実家が権力のある侯爵家だから、最悪までは行っていないらしい。
完全には助けてくれないけど、この匙加減で兄達の婚姻や領地の経営に口やりが少なく済んてるとか。
ちなみに父も綺麗系イケメンなので父に似てる2人も兄達もかなり美形なんだよね。
「ルカ、リィン、おかえり」
ジョン兄さんと父さんが出て来てハグされて、トランクを運んでくれた。
「卒業おめでとう!繰り上げなんてすごいわ」
家の中に入れば、母さんからもハグされて。
ジョン兄さんの奥さんのアマレットさんには普通にご挨拶。ほんわり癒し系でいいお姉さんなので和む。
ちなみにうちにメイドさんなどはいない。貧乏だから!
辛うじて執事のマイケルと家令のハーレイがいてくれて父さんの補佐をしてくれている。
食事は通いで近所のハンナさんが作ってくれてる。
お祖父様のところでメイドさんやコックさん、馬丁さんとか庭師さん見た時はびっくりしたもんだよ。
「さあ、疲れたでしょう。少し休んで着替えてらっしゃい!今夜はハンナが腕によりをかけて作ってくれるわよ」
父さんと兄さんが私達に部屋に荷物を運んでくれて、すぐ出て行ったけど、ネルとファナは私達にくっついて離れない。
「兄さま、王都楽しかった?」
「人いっぱいいた?」
前回帰って来た時より口も達者になってて元気いっぱい。二人はまだ隣町くらいしか行っていないはずだから、外のことが聞きたくて仕方ないみたい。
私たちにとって王都は特別思い入れもないけど、子供の夢が壊れたらいけないから、ほどほどに見て来た事を教えるとキャッキャと楽しそうに聞いてくれる。
荷物の中からと装ってアイテムボックスの中から王都で買った少しよそ行きの衣装を出してあげる。
「さぁ二人とも今夜はこれを着てご飯食べよう」
「えー、こんな綺麗な服、ご飯で着るの勿体無いよ!」
ファナがレースがたっぷり使われたちょっとおめかし用のドレスを嬉しそうに抱きしめつつ、抗議してくる。
ネルもちょっとだけ豪華なスリーピースを。
お茶会用などは親に任せないとだしね。
二人ともお土産のお菓子やヌイグルミとかで大喜びして、部屋に置いてくるって出て行った。
ほっと一息ついて私たちも着替えのために別れた。一応個室持ってるからね。
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