幕間03話 吉原三姉妹01。

 た、大変なことになっています。何が大変って、それはもう本当に色々です。


 まず驚かないで聞いて欲しいのですが、この度皇女殿下の第二測妃となることが決定致しました。まさに青天の霹靂です。


 まさか十八才という身空で結婚することになるとは思いも寄りませんでしたが、そのうえで相手が女性かつ他にも二人ほど奥さんが居らっしゃるのです。


 ちなみに妹の独断で、私に拒否権などはありませんでした。……いえ、正確には拒否することも可能だったと思うのですが、当の私がそれを選択しなかったのです。


 お相手の方—―アイヴィス様はとても可愛らしい反面理知的で、私を指名した最大の理由は「蒼空ちゃんのユニークスキルが絶対に欲しいから」とおっしゃっております。


 聞く人が聞けば憤るのでしょうが、私個人としては嫌な気は起きず、むしろ求められたことを嬉しく感じています。


 あっけからんとした元々の性格も好感を持てますが、何よりも手段が明確かつ誠実で、そのうえで姉妹共々今後の面倒を全て引き受けて下さると確約して下さったことが大きいのだと思います。


 もし仮に一人ならばそれでもなお抵抗したかも知れませんが、私の背後には敬愛する姉と可愛い妹が控えているので拒否はあり得ません。


 それに何より……私、吉原よしわら蒼空あおいはもうアイヴィス様—―の正妻であるラヴィニス様の忠実な下僕ですので、彼女に限りなく近しい第二測妃の座はむしろ大歓迎、ばっちこいなのです。


「この”すまほ”なる魔道具は素晴らしいですね。静止画だけでなく動作も映像として保存できるとは……世の絵師が嘆く姿が目に浮かびます」

「うわぁ~、もしかしてコレって最新型? 俺が持ってたのより薄くて軽いのに大画面とか、やっぱり現代日本の技術って凄いねぇ」

「……こちらとしては、バッテリー切れだったものを素手で充電してしまったラヴィニスさんの超絶技巧の方が気になるのですが」

「それにシュアさんの適応力の早さも凄いわぁ。私の方が慣れているはずなのに、新しいスマホに変えたら全然分からなくなっちゃうものぉ」

「優香様の教え方がお上手でしたので、不慣れな私でもすぐ理解出来ました。優しくて包容力もあり謙虚ときましたか、見習いたいものですね」

「んもう~! シュアさんったら私のこと褒め過ぎぃ。あんまり褒められると好きになっちゃうからぁ、これ以上はだ~めぇ~♡」

「そうですか、残念です。私としては優香様と今以上の友諠を築き上げたいと願っているのですが、無理強いするわけには参りませんね」

「あ、あぅぅ。わ、私もシュアさんと仲良くなりたいと思ってますよぉ」

「そうでしたか! 嬉しいです。是非ともこれから宜しくお願いします」

「……順調に優香姉さんがシュアさんに攻略されているのですが、妹としては止めたほうが良いのでしょうか?」


 はぅぅ。見ての通り優姉も第一測妃のシュアさんにたじたじとなってるし、あんっ! た、頼れるのは紫苑しかいないんだけど、うぅんっ! そ、そもそもこの状況下ってその紫苑のせいでもあるわけだしぃぃ……。


 あ、あぁっ⁉ ら、ラヴィニス様そこは駄目ぇっ⁉ う、うぅっ。どういう神経してたらこんな一家団欒なシーンで遠慮なくあーしを愛撫出来るのぉぉぉっ?


 む、無理ぃ! そこは本当に駄目だってばぁ! 皆にあーしがオムツ履かされているのばれちゃうからぁぁぁっ⁉ ん、んきゅうぅぅぅっ⁉⁉


 はぁ、はぁっ。な、なんか気が付いたらシュアさんがこちらにスマホ向けてるんだけど、もしかしなくても撮影してないかな? してるよねっ⁉


「—―アイヴィス様。蒼空の準備、完了致しました」

「お、ありがとねラヴちゃん。それじゃあサクッとやっちゃいますかね」

「私が言うのも何ですが、流石に少々可哀相なのでは? 同じく最近まで乙女だった身としては、”初めて”は特にムードを大事にして欲しいと思うのですが」

「ふふっ。大丈夫だよラヴちゃん。蒼空ちゃんってば流されているように見えるけど、こう見えて意外とこの状況を楽しんでるみたいだからさ」

「かまってちゃんなうえにぃ、可愛い女の子も大好きだからねぇ」

「……我が姉ながら、どうしようもない趣向だとおもいます」

「—―ちょっ⁉ 皆して勝手なこと言いすぎじゃない? 優姉や紫苑だって可愛い女の子が大好きなくせにぃぃぃっ!」

「私が一番好きなのは蒼ちゃんだよぉ? でもシュアさんも好きなのぉ」

「……私はそうですね。一番放っておけないとだけ言っておきましょう」

「う、うぅっ。素直に嬉しくて何も言えなくなっちゃうの……困るぅぅ」

「美しい姉妹愛。これが”エモい”って感情なのでしょうか。せっかくの機会ですし、まるっと全部”すまほ”に記録しておきましょうか」

「—―よし来たシュアちゃん任せなさいっ! 私の二つあるユニークスキル、『雌雄瞬転(一部)』を御覧じろっっ!」


 な……あ、あれぇ? ど、どうしてアイヴィス様の可愛らしい下腹部に、あんな凶悪な男性器が付いてんの? そ、それにあの大きさってもしかしていわゆる……”馬並み”ってやつじゃん?


 あ、あれぇ? あーしってば今から、アレに貫かれる感じだったり?


 そ、それマ? ちょ、ちょちょちょ、超怖いんだけどぉぉぉっ⁉ アイちゃんってばあんなに可愛い顔して、めっちゃ極悪じゃんっ!


 「薔薇に棘あり」というか、「ローズさんに突起物」? とにかくこのままだとあーし、二度と日の目を拝めなくなっちゃいそうなんだけど……?


「大丈夫だよ蒼空ちゃん。ラヴちゃんがしっかりとほぐしてくれたみたいだし、多分きっと……全然痛くないし、その……大丈夫だからっ!」

「—―絶対嘘じゃんっ! そんなおっきいの、痛くないわけないもん!」

「それはそれとして、流石にオムツは色気がないなぁ……えい、えいっ!」

「あぁぁっ⁉ ちょ、なんで破るのアイヴィス様ぁ! うぅっ、なんかおしめ変えられてるみたいでめっちゃ恥ずいんだけどぉぉぉ……」

「うわぁ、凄いことになってるね。……あ、出来れば蒼空ちゃんにはタメ語でアイちゃんって呼んで欲しいなぁ……よいしょっ」

「あ、あぁぁっ⁉ わ、分かった! 分かったからあーしの両脚を片手で掴んで持ち上げないで⁉ ホントに赤ちゃんみたいじゃんかぁぁぁっ!」

「むぅ。そんな我儘言って、しょうがないなぁ。—―シュア、優香さん。蒼空ちゃんの足を片方ずつ持って貰ってもいい? ……はい、どーぞ♡」

「あらあら、蒼ちゃんってばお顔真っ赤にしちゃって。凄く可愛いわぁ」

「なるほど。蒼空様は羞恥プレイがお好き……と。そういうことでしたら私はこのまま撮影を続けますので、優香様は蒼空様の秘部を見えやすいように、くぱぁと開いて見せて頂けますか?」

「はぁい、蒼ちゃん御開帳ぉ。シュアさん、これでどうでしょう~?」

「流石です優香様。蒼空様の可愛らしい秘部が、ばっちりと”すまほ”に映ってますよ~」

「や、やだやだ優姉ってば何してるのっ⁉ い、いやぁぁぁっ! シュアさんもそんなところ取らないでよぉぉぉ~っ! う、うわぁぁぁんっ!」

「もう。蒼空ちゃんったらどうしたの? 嬉しいくせにそんなにわんわん泣いちゃってさ。……仕方ないなぁ。紫苑ちゃん、キスをしてあげて?」

「……はい、アイヴィスさん。あ、蒼空姉さん。覚悟して下さいね?」

「あ、アイちゃんってばホントに何言ってんのっ⁉ ねぇ紫苑も何とか言っ……てぇ? し、紫苑⁉ ちょ、え? もしかして本気でs—―っ⁉」

「おぉ。紫苑ちゃんって、結構情熱的なんだねぇ。—―よし。それじゃあ私も負けじと頑張りますか――っと、おぉぉっ⁉ これはきっついねぇ」

「—―んぎゅぅぅっ⁉ あ、アイちゃん痛—―むぐぅっ⁉ んんぅっ! し、紫苑もだめぇぇ、ちゅーはらめだってばぁぁぁ……」

「……んちゅる。痛がってるのに感じちゃう蒼空姉さん、凄く可愛い♡」


 無理っ! ホントに無理だってっ! これ以上したらあーし、死んじゃうってばアイちゃんっっ! あ、あぁぁ……む、無理無理無理ぃぃぃっ⁉


 ……はぁはぁっ。はうぅ……し、紫苑も駄目ぇ。そんなにちゅーしちゃらめなのぉぉ……。あ、頭全然回んないし、息も出来ないからぁぁぁっ。


 あ、あ、あぁぁっ。と、撮られてるぅぅっ。あーしのあられもない姿、シュアさんにばっちり撮られちゃってるしやだぁぁぁっ。


 もう駄目……もう駄目なのぉぉぉ。お願い優姉、皆を止めてぇぇぇっ!

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