第7話 ピンク
高校卒業後強引に家を飛び出し、モデル事務所の【吉田 和希】さんにお世話になることになった。
両親はカンカンに怒っていたが、出てしまえばこっちのもの。いつまでも子供じゃないし、自分の意思だってある。
だけど20歳未満と言うこともあり、
一応両親の承諾を得ねばならない。言わば保証人だ。
間に吉田さんが入り、田舎に行き、何とか両親をあの手この手で説得してくれた。
吉田さんには頭が上がらない。
あの頑固者たちを手懐けるとは、さすがだなと思った。
アパートも始めは、なるべく事務所に近いところにした方が、何かと便利だと言われ、吉田さんの言うがままに決めた。
10畳1間のワンK。しかもトイレとお風呂が別。家賃は駅に近い場所だったから7万円と高めだったけど、アタシには唯一の城となる。
これからは誰にも邪魔されず、干渉も無く1人でやって行ける。文句を言う人もいない。
アタシは『ピンク色』が好き。女の子なら『ピンク色』好きな人は多いだろう。
『ピンク色』は癒しにもなるし、女性ホルモンを出してくれる。だからアパートは『ピンク色』中心に小物選びをしようと思った。
10畳の部屋に、白いベットを壁際の端に置き、真ん中に白いテーブル、テレビ台と白いカラーボックス2個を置けば、結構キチキチになる。
タンスも白に揃えてハートのラグマットはもちろんピンクにした。カラーボックスには、中が見えないようにレースでカバーする。そして布団カバーや枕カバーも、ピンク。うーん、ピンクと言うか、寝具は桜色に近いかも…。
カーテンだけは、アイボリーの無地にした。さすがにカーテンもピンクじゃ、うっとうしいかなと思った。
そう言えば何かの本で、寝具類をピンクにするとリラックス効果があり、熟睡出来ると書いてあった。
実家に居た時はピンクの部屋にすると、「バカか?お前は!」と言われたこともある。
アタシには自由が無かった。
これからは自由。それが嬉しい。
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