第48話
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「殿下。」
「あ?」
ロバートに声をかけたのは、今度はサリアだった。
「シャーロット様は宜しいのですか?最近殿下と一緒にいらっしゃる所を見かけませんが……。」
「はっ、お前たちがそれを言うとは……。お前たちだってあいつを捨てただろ?あいつ外見だけじゃなくて内面も醜い。あんなに口うるさい女、こっちから願い下げだ。」
サリアからの問いかけに、ロバートは得意げにこたえた。
その反応を見て、わざとらしく大袈裟に俯き、怯えながらも意を決して声を上げたような雰囲気をだしつつ再び声をあげる。
「ですが、おふたりは婚約者ではありませんか。朝の挨拶くらい……。」
「なんだ、あの女を気にしてるのか?はっ、何も連絡を撮ってない訳では無い。俺の気を引こうとしているのか、最近婚約破棄までちらつかせて……ああ、そういうことか。『彼女』は、シャーロットの存在を気にしていたのだな!だから俺がどんなに優しくしてやろうとしても断っていたのか!本当は俺に惚れていたんだな……だから涙を飲んで俺のために我慢してあんな態度を……。」
自身の爪を噛みながら何やら一人でぶつぶつとつぶやき始めたロバートの瞳は瞳孔が開き、明らかにヤバい雰囲気を醸し出していた。
シャーロットになど二度と近寄らなければいい。
あわよくばその間に婚約破棄を成立させてしまえばなお良いなどと考えていたのだが、これはまた一悶着おきそうだ。まぁ、あの人達なら上手くやるだろう。
ふふふふふ……ははは……!
と明らかにおかしな笑い声を上げながら、ロバートは目の前の二人には目もくれずに歩き出した。
そんな明らかにおかしな様子に、自然と街の人々はロバートの前に道を明け渡していった。
そんな彼の様子を二人は遠い目をして見つめていたのだった。
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