第44話
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先程の態度から、クラスメイトの誰かを無理やり退かしてロバートが近くに座って来ようとする事を危惧していたのだが、それは杞憂に終わったようだ。
突き刺すような視線は感じるが、それだけのようだ。連続で受けた謹慎が溶けたばかりで下手に動けないのだろうか。そこまで考えているとは思えないが。
ロバートの興味が他へ移ってしまったのが気に入らないのか、ラーラはずっとシャーロット達を睨みつけていた。このままではロバートを奪われて、自分の立場が危うくなる事を危惧したのか、必死に彼の気を引こうとしている。ロバートの父である国王を見ていれば、その移り気を危惧するのも当然だ。
きっとラーラは彼の側室ほど上手く立ち回る度量は無い。上手くロバートの側室に収まったとしても、寵愛を失ったら失脚まで瞬きの間だろう。
授業が終わると直ぐに彼女は教室からロバートを引き連れて行った。彼女からの視線は煩わしい事この上なかったが、それ以上にロバートが煩わしいがために、これに関してはありがたいと素直にそう思った。
最近、ユリウスがよく公爵邸を訪れるようになった。なにやら父と話し込んでいるようだ。父の執務室で話している為、内容までは分からない。自分の婚約破棄についかもしれないし、関係のない話かもしれない。だが、どちらも何やらいきいきしているように見える。
ロバートが二度目の謹慎を食らって暫くした後、父は仕事に行かなくなった。
何かあったのかと心配したが、飄々としたいつもの彼であったから、シャーロットは心配する事を辞めたのだ。ユリウスも問題ないと言っていた。彼らふたりが大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。圧倒的な安心感だ。
それから、2、3度証拠提出の為に、神殿関係者が公爵邸を訪れた。疲れて憔悴し切ったように見えた彼らの様子に、手続きが難航している事が見て取れる。無理に自分で解決しようとしなくて本当に良かったと思えた。
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