第35話

35

翌日、目が覚めると父から全ての準備が整ったから今日から提訴するとの報告を受けた。もう今日からは何一つ婚約者だからという理由で我慢しなくていいのだ。どうやらロバートが軟禁されていたことでとても動きやすかったらしい。


うきうきの気分だったのだが、学校に行くと何故かロバートが待っていた。

関わるのが正直嫌だったので、待っているのは私の事では無いだろうと自分に言い聞かせて、無視して通り過ぎようとしたのだが、呼び止められてしまってそれは叶わなかった。



「おい。お前、どういうことだ。」

「おはようございます。どう、とは?」

「とぼけるな、分かっているだろう!街での事だ。どうして父上に俺は悪くないと何も言わなかった!?」


思わず溜息が漏れそうになるのを必死に堪える。

一週間前の事を根に持っていたようだ。



「悪くない?あなたが私たちに訳の分からない理論で絡んできたのは事実でしょう。それに、あの時は治安維持部隊の方々に一部始終全部聞かれておりましたもの。嘘なんてつけませんわ。」

「訳の分からないだと?お前が浮気してたから……それから、お前が仕事を放り出していると母上がおかんむりだ。そろそろ王宮に来て仕事くらいしたらどうだ!?」

「浮気?それは自己紹介なさってるんですか?……それから王宮に行かない理由ですが、必要無いからですわ。」

「必要無いだと!?お前は俺の婚約者としての自覚が」

「もう良いだろうか?」


ヒステリックに言い募るロバートを遮ったのはユリウスだった。サリアとロゼリアもそこにいたのだが、身分上、流石にロバートか話しているのに割り込める訳が無かった。

やっぱり彼が味方についてくれて良かった。



「授業が始まる。行こう、シャーロット。」

「お前はあの時の浮気相手!」

「友人だと言ったろう。……あぁ、『婚約者としての自覚』だったか?そもそもお前は『時期国王としての自覚』が無いようだ。女にかまけてないで少しくらい自分の行動を省みたらどうだ。」

「なっ……巫山戯るな!誰に向かって……」

「あ、そうだ、ロバート様。」


ユリウスは自分の言いたいことだけ言うと、ロバートには興味を無くしたように行こうか、と促してきたのでシャーロットは思い出したようにロバートに声をかける。



「もう婚約者でもなくなるんですし、そう気軽に話しかけないで下さいね。」

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