第25話

25

翌朝、いつもの通りの時間に登校すると、サリアとローザの隣に既にユリウスが居た。

彼から二人にはまだ何も話していない様で、とはいえ、別に彼は害のない相手であることはよく分かっているので、困惑した表情を浮かべているのが少し申し訳無い。



「ごきげんよう、フランシア殿下、サリア様、ロゼリア様。お待たせしてごめんなさい。サリア様とロゼリア様にお話したい事があるの。そこに何故殿下がいらっしゃるのかということにも関係あるわ。とりあえず教室まで移動してもよろしいかしら?」

「おはよう。そうだな、あまり人目につかない方が良いだろう。」

「ごきげんよう、シャーロット様。ええ、勿論ですわ。もう体調は大丈夫なのですか?昨日少し顔色が悪いように思われましたが……。」

「ごきげんよう、シャーロット様。あの、ロバート殿下を待たれなくてよろしいのですか?いつもご挨拶なさっておられたじゃないですか?」

「もう大丈夫よ、ありがとう。ロバート様はもういいの。その事も関係あるのよ。教室で話すわ。」


そう言うと、安心したような、でもどこか心配そうな顔のままシャーロットに続く。ただひとつ、『ロバート様はもういいの』という言葉に全員の顔が明るくなったような気がする。

やはり自分が思っていたよりもずっとずっと心配をかけてしまっていたのだなと罪悪感が首を擡げる。


まだ時間が早いこともあり、教室の中には一人もいなかった。本当は空き教室とかの方が誰かに聞かれる心配も無いのだろうが、何せ昨日のことが思い出されそうだったのだ。いつもの席に着くと、ユリウスが軽く周りに防音の為の結界を張ってくれた。



「まず、ロバート様との婚約は破棄することにしました。お父様に話した所、大層お怒りでしたので、その辺の心配は無くなりました。ですので、ロバート様に自分から関わりに行く必要が無くなりましたの。ですが、あの方が何をやらかすか分かりませんのでフランシア殿下が近くに居て守って下さる事になりました。」

「え!?本当ですか!?おめでとうございます……で良いんですよね?」

「ええ、ありがとうございます。何だか解放されたような気分ですわ……。」

「あ、でもどうして殿下が?前々から気にかけて下さっていたとは思いますが……。公爵閣下ともそんなに親しかったという認識は無かったのですが……。」

「それは昨日助けて頂いたからです。昨日放課後にロバート様を探しに校舎の中に戻ったのですが……」


そうしてシャーロットは昨日二人と別れた後の話を掻い摘んで話した。途中、思い出して気持ち悪くなりかけたが、所々でユリウスが補足をしてくれた為、第三者にも分かりやすく説明出来たとは思う。


だが、どうやら聞いていた方もそれと同じかそれ以上に気分が悪くなったうだった。

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