第24話
24
「全然嫌なんて事はありません!ですが、よろしいのですか?ご迷惑では……。」
「いえ、実は前から貴女と気軽に話せるような仲になりたいと思っておりましたので。もしよろしければ、この機会に友人になって頂けませんか?」
「まぁ!光栄ですわ、こちらこそよろしくお願い致しますね!」
ユリウスの見立てでは、シャーロットからロバートに関わりに行かないようになっても2、3日は平気だろう。だが、その後、彼らの仕事が滞り始めると焦り出してシャーロットを責め立て出すかもしれない。
いや、その前に彼はシャーロットに依存しているような気がする。
何時でも、どんな時でも無条件に自分に付き従い、肯定してくれる相手。
そんな存在が必ず居る、そしてその相手には何をしても許されるだろうという慢心の元に今の彼があるような気がする。
だから、そんな存在が突然自分を無条件に肯定する事を辞めればその行為が気に入らないと難癖つけてくるだろう。
幸いユリウスはいつも一人でいる事が多い。
多少行動を今までと変えようとも、不審に思われることもあまり無いだろう。
そして、その見立ては公爵の考えとと殆どが一致していた。ずっと上手くやっていると思い込んでいて、今軽く事実を聞いただけの公爵が同じ考えを持つ程なのだ。なるべく早々に婚約を破棄する為の手続きを終わらせる必要がある。
通常、婚約を破棄する為には二つのルートがある。
一つはお互いの家が話し合って穏便に博士に戻すという方法。婚約締結時に取り決めた約束事などがある場合にはそれを履行する。
そしてもう一つは、一つ目の方法で上手く折り合いがつかなかった場合、又はどちらかが婚約締結時に想定されていなかった程に物凄く悪質である場合。
こちらは第三者機関である裁判所に判決を任せるのだ。この場合、相手が揉み消しにかかる事が想定される。破棄を申し出たという事実が無くなる事や、婚約破棄の為の訴訟を起こしたという事実が初期段階で相手に漏れると不利になってしまうため、どのような方法でも証拠が消されないように、またどのような圧力にも屈しない為に、何重にも渡るセキュリティと、貴族や王族とは完全に隔離された国教の機関によって執り行われる事になっている。
今回のケースならば二つ目の方法が妥当だろう。
シャーロットとユリウスが何やら談笑し、数刻の後、ユリウスが帰宅した後、公爵は大急ぎで準備に取り掛かったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます