第23話
23
「……済まなかった、シャーロット……。てっきり上手くやっているとばかり……。お前は優秀だからしっかりあの馬鹿どもの手綱を握ってくれれば国が傾く事が防げるかと思ったのだが……あやつらは私の想像を超える愚か者共だったようだ…………。」
暫くしてやっと動き出した公爵から割ととんでもない発言が飛び出して来た様な気がする。
ゆるゆると頭を降ってシャーロットに焦点を合わせた公爵は更に続けた。
「お前がこの婚約を続けたいのならば1度ガツンと焼きを入れよう。丁度明日にも王妃から押し付けられている書類について国王陛下を問い詰めようと思っていたからな。だが、もう自由になりたいと言うのならば婚約を白紙に戻してしまおう。お前はどうしたい?」
「婚約を続けなくても良いのですか……?」
「あぁ、勿論だ。そもそもこちらにはなんの利益も無い婚約なんだ。そのくせこの不当な扱い。情けをかけてやる義理など一欠片もない。」
「……それでは、婚約を白紙に戻すのではなく、出来れば王家有責での婚約破棄にしたいです。きっと婚約を白紙に戻すのでは、王家にあることないこと吹聴されるでしょうから。」
「そうだな、それが妥当だろう。今までよく頑張ったな、シャーロット。明日からはもう王太子と関わる必要もないし、王宮にも行かなくていいし、勿論押し付けられた仕事だって放っておいていい。私に預けたとでも言っておきなさい。上手く誤魔化してやろう。だが、無いとは思うが、力づくでやらせようとしないかだけ気になるな……。」
そもそもが王太子と王妃の仕事なのだ。臣下に丸投げなどというありえないことをした時点で非は向こうにある。そんなことある訳ないだろうと思ったから破り捨ててしまったなどと嘯いてしまえばいいのだ。こちらを責めることなど出来ないだろう。
正規なルートでは無く、断れないようにシャーロットに内密に押し付けている時点でもそれが伺える。
だが、唯一の心配が、それによって追い込まれた彼らがシャーロットに無理やり仕事をさせるのでは無いかということだった。ずっと自分で仕事をしていないのだ。今更突然やれと言われて出来るものでも無いだろう。なまじ彼らに権力があるのが厄介だった。
だが、そんな公爵の心配も杞憂となる。
「それなら僕がシャーロット嬢に着いていましょう。勿論、シャーロット嬢が嫌でなければ、ですが。流石に隣国の王族に手は出せないでしょう?」
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