第22話
22
扉がノックされると数秒の後に外から声がかかり、扉が開かれる。どうやら、ユリウスが父を連れて戻ってきたようだ。
思考に入り込んでいたシャーロットは、割と長く時間が過ぎていた事に気がついていなかった。
ベッド脇に来ると、父が心配そうな顔をしている。
「良く眠れたか?昨日よりは顔色が良さそうに見えるな。良かった。……そうだ、それより、話があると聞いた。」
「……はい。言うかどうか迷っていたのですが、やはり伝えておこうかと。」
「ん。言ってみなさい。」
父の優しい声に背中を押される。
ユリウスも、少し離れた所から見守っていてくれている。
「実は、ロバート様の事についてです。前から思うところは多々ありましたが、昨日、ついに耐えきれなくなってしまいました。」
そう前置きをおいて、父に話し始めた。
我慢はしない。全てをここでぶちまける事に決めた
。
ロバートからの扱いが酷い事。
顔を合わせる度に侮辱される事。
婚約者が居るにもかかわらず、必ず傍に多数の女生徒を侍らせている事。
そして、そのロバートの行動によって付け上がった女生徒達が立場がずっと上であるはずのシャーロットを見下した態度を取っている事。
それを窘めるどころか、お茶会と称して王妃にいびられている事。
側妃の誰かが助けてくれるまで解放されない事。
大量の王妃及び王太子の仕事を押し付けられている事。
そして、昨日目撃してしまった事。
「そうして、偶然その場にフランシア殿下がいらっしゃって助けて頂いたのです。」
シャーロットの話が終わると、信じられないようなものを見たような顔をして、公爵はユリウスを見遣った。
「……殿下、今娘が話した内容は……。」
「全て事実です。あ、いえ、王妃の件は直接見ておりませんから分かりませんが、学園の中での出来事は全て証言できます。お疑いになるのであれば、シャーロット嬢のご友人方に確認されるのが良いでしょう。彼女たちはシャーロット嬢の置かれた現状をとても憂いてらっしゃいますから。」
そうして、全て現実であると分かった公爵は頭を抱えてしまったのだった。
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