第9話

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「ちょっと成績が良いからって良い気になっているんじゃなくって?出しゃばったりしないで、少しは王太子の婚約者としての自覚を持ったらどうなの?自分をよく見せる事ばかり考えていないで、少しくらいロバートを立てるような行動をしなさいな。

あぁ、可哀想なロバート。こんな気遣いもへったくれもないような女と結婚しなくてはならないなんて……。それもこれも全部、あんたとあんたの親が出しゃばってきて、コネと権力にものを言わせて無理やりあんたをロバートの婚約者の座におさめたから悪いのよ!!」


ぐちぐちぐちぐちぐちぐちぐちぐち………………。


王妃からの猛烈な攻撃は、シャーロットが席に着いた直後から小一時間ずっと続いていた。

正直、ひとつひとつ真面目に聞いていくのも馬鹿馬鹿しいので、シャーロットは顔面に笑顔を貼り付け、時折適当に『申し訳ございません』だの、『失礼致しました』だの、あいずちを挟んでいく。頭の中身の殆どは既に今日家に帰った後の事が占めている。


でしゃばっているというか、あんたの息子の頭の出来があまりにも残念なだけでしょうが、とか、そっちが押し付けてきた婚約でしょうが、とか、それを理解出来ないあたり、頭の出来はあんたからの遺伝だったんだろうなぁ……とか。

こちらに残っている頭の一部で時折思う。

顔には一切出さないが。


反応はするが、全く応えていなさそうなシャーロットのことが気に入らないのか、顔を歪ませた王妃はなおもくどくどくどくどと話し続ける。



「夫を喜ばせるのも妃の務めなのよ!それなのに何、その体は!前々から早く痩せなさいと言っているでしょう!?いつまで経っても変わらなくて、あなた私のことを無視するなんて、バカにしてるの!?」


別に何もしてない訳では無いのだ。

さすがにコンプレックスを刺激されれば聞き流す事も出来ず、ほんの少し表情を歪ませてしまう。

それを目敏く見付けた王妃が愉悦の声を上げようとした時だった。



「うふふっ、陛下に相手にされない貴女が何を仰るのです?あぁ、まだ若いシャーロット様に嫉妬ですか?見苦しいこと。年頃の女の子に体型の話なんてご法度ですのよ?あぁ、申し訳ございません、あまりの暴言につい口が滑りましたわ、ご勘弁を。」


柱の影から現れたのは、褐色の肌に美しい金の髪を持つ、魅惑的な美女であった。

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