第6話

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ロゼリア、サリアの二人と別れた後、シャーロットは現在、王城へと向かう道のりを馬車に揺られている最中であった。りょうしがシャーロットの為に手配したこの馬車は、繊細かつ豪奢な見た目でありながらも、実用面もよく考えて造られており、車輪にはスプリングがしっかりと効いていて、乗り心地も一級品なのだ。


学園のある城下町から王城へと続いているメインストリートは、街並みを意識したのか石畳で出来ており、時折その段差で馬車と共にシャーロットの体が跳ねる。


小刻みな揺れと、繰り返されるゴトゴトという小さな音に、シャーロットの瞼は次第に重くなっていった。


時折、お茶会と称してシャーロットが王妃に呼び出されるようになったのはここ二年程だ。

丁度シャーロットが王妃教育の全ての課程を終わらせた頃からの事であった。


シャーロットは、12歳の時に、正式に王太子・ロバートの婚約者となった。そこから学園に入学する15歳迄の約三年間で、彼女は王妃教育の全ての課程を終わらせたのだ。


一般的に王太子の婚約者は5、6歳の時に決定し、そこから王妃教育の全ての課程を修了するには、学園を卒業する17、18歳まで掛かるのがほとんどだ。

シャーロットは、歴代でも類を見ないほどの優秀さであったのだと言えよう。


シャーロットとロバートは、婚約当初はそこそこ仲の良い、ごくごく一般的と言える婚約者同士であったのだ。お互いの事を尊重し、敬い、そして穏やかな時間を共に過ごす。そんな関係。

二人の間に恋愛感情というものは存在していなくとも、王と、それを支える王妃として。はたまた家族としての愛を共に育んでいこうとする気概は感じられる様な、居心地のよい関係。


それが変わってしまったのはいつからのことであっただろうか。

忙しさのあまり、シャーロットがロバートとの時間を満足に持つことが出来なくなってしまったのが原因か。

はたまた、シャーロットの容姿が大きく変化してしまったことが原因なのか。


真相は分からない。


ただ、いつしかロバートはシャーロットを蔑み、全くもって省みることは無くなっていたのであった。

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