第16話相談
「それで、相談というのは?」
雑用を終え、
自分に相談してくれたことが余程嬉しかったようで、先程の厳しい表情が和らいでいると、
「おぬし、随分と乗り気ではないか」
「珍しく、私に相談を持ちかけてくれたので」
その姿を、
目尻にほんのり優しさを滲ませた
「お話を聞かせて頂けませんか?」
と、思い出に浸り続ける
「うむ、相談というのはな……」
彼は前々から感じていた悩みを交えながら、たった今部屋で見た出来事を話して聞かせる。
そうしていくうちに、彼の頭の中でやりたいことが徐々に纏まり始めたようで……
「それでな、わしは影武者が欲しい」
「影武者ですか……
しかし、その少年に努められるか疑問に思いますが」
“まだ子供ですし”と、困惑して
しかし、心の裏では彼が影武者を欲しがる気持ちを重々承知していた。
そうとは知らず、
「大人とか子供という前に、あの少年と話してみたいと思って……
聞けば、あの少年はわしと同じ
「そうでしたか」
「うむ、それで何処か懐かしくて、つい対面できたらと思ってしまったのだ」
「なるほど、同郷と分かればお話の一つや二つしたくなります」
「だから、まずはその少年に直接会って話をと思うたが、逃げられるのが落ちだ」
「それを避ける為に、我々の力をお借りしたいというわけですね」
「さよう、察しが良いではないか」
「では、どうやって父上を説得して、この極秘企画に巻き込むのです?」
「それはな……」
「成程、それは面白い!」
「そうであろう?」
「体調が悪い日が続いて、なかなか外へ出られない父上も、それなら気晴らしにと動いてくれるかもしれません」
「それでは早速決行する日時等を調整しましょう!」
と、快く引き受ける。
「忙しいところ悪いが、宜しく頼む」
椅子から立ち上がり、
外ではその策を後押しするかのように、緑色に帯びた柔らかい風が吹き始めた。
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