第22話 着順 【日曜日:Sunday】

 大広間に一番最初にいたのが宮野さんで二番目にきたのが「006」だってのを知れたのも収穫だな。

 となると一番最初に大広間にきたのが宮野さんで二番目が「006」。

三番目、四番目、五番目に誰がきたのかは不明。


 俺がきたのが六番目で、七番目が小鳥遊さん、最後、八番目が「001」。

 俺より前に大広間にいながらいつきたのかわからないのが弓木さんと三木元さんと門倉さん。

 

 「そういうことか。宮野さんの洞察力は探偵みたいですごいな~。僕がきたときは宮野さんと006番さんと弓木さんがすでにいたよね? 弓木さんはエレベーターなんて確認してないでしょ?」


 弓木さんは、はいとうなずく。

 おっ、いまの門倉さんの話は大きなヒントだ。


 門倉さんの話を聞いたかぎり門倉さんが大広間にきたときにはすでに宮野さんと006番さんと、弓木さんがいた。

 門倉さんの前に弓木さんがいたってことは並べ変えると一番最初にいたのが宮野さん、二番目が「006」、三番目が弓木さんで、四番目が門倉さん。

 

 六番目にここにきたのは俺だと確定している。

 なぜなら俺の後に小鳥遊さんと「001」のふたりがきて八人全員が揃ったからだ。


 四番目に大広間にきた門倉さんと六番目の俺とのあいだを埋める五番目は、もうひとりしか残っていない。

 三木元さんだ。

 これで大広間にやってきた全員の順番がわかったぞ。


 一番が宮野さん、二番が「006」、三番が弓木さん、四番が門倉さん、五番が三木元さん、六番が俺、七番が小鳥遊さん、八番が「001」だ。

 このカートとダンボールがあらかじめ・・・・・エレベーターの中にあったっていうのは結局、宮野さん自身が大広間にきた以前のことだったんだ。

 でも、それにどんな意味があるんだろう。


 みんなそのことにあまり疑問を抱くこともなくエレベーターの中からカートをごろごろと押して出ていった。


 三木元さんは途中でカートを止めて自分の部屋の鍵を使いダンボールのガムテープを切っていた。

 鍵をカッター代わりに使うなんて生活の知恵だな。


 いち早くダンボールの中を見てみたかったのか。

 三木元さんは中身をさっと確認したあとすぐにまたカートを押して歩きはじめた。

 大広間経由でそれぞれが放射状に散っていく。

 

 俺はエレベーターから出て初めてあることに気づいた。

 ここのエレベーターには外側からの操作ボタンがない。

 ってことは外側からはエレベーターに乗りたくても乗れないんだ。

 このエレベーターの自体を運営側がコントロールしてるのか?


 俺もそのままカートを押して「002」のプレートを横目に元きた廊下を遡っていく。

 間接照明が規則的にダンボールを照らしていた。

 一度通った廊下だからか大広間から俺の「002」部屋まではわりとすぐに着いたような時間の感覚だ。


 自分の部屋なのか「002」のプレートを確認して青いつなぎのポケットから鍵をとり鍵穴に挿してドアノブを回した。


 部屋の扉を開いたところであることに気づく。

 それは部屋を出るときは気づかないことだ。

 そう、いまのこの状況じゃないと気付かないだろう。 


 部屋の入口はまるでバリアフリーとでもいうようにカートを押してそのまま入っていける仕様になっていた。

 この扉は沓摺だんさがないように作られていたのか? それはつまりこの部屋はこのカートを運ぶことを前提にして作られたからだろう。

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