第9話
「フィールとアイラだと!」
「そうだよ!ボッズ、君じゃない。フィールとアイラが結ばれた方がいいよ」
「適当な事を言うな!フィールの差し金だな!」
「私は嘘をつかないよ」
「お前のご主人様はフィールだろ!」
「妖精契約は対等な契約だよ。それに君からは邪悪さを感じるね。あまり話をしたくないよ」
妖精が邪悪だと言った。
これはかなり重い発言になる。
妖精は善と悪を見抜き邪悪を嫌う。
この国では誰もが持っている常識なのだ。
そう言ってチンカウバインはボッズから距離を取った。
チンカウバインは真実だけを言った。
だが、その事でボッズは剣に手をかけた。
「フィール!貴様ああああ!決闘だ!決闘を申し込む!」
「お断りします」
「貴様あ!それでも男か!良いから受けろよクズがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ボッズが剣を抜いて風の斬撃を飛ばすが学園長マーリンが風の壁で斬撃を消した。
「ふぉっふぉっふぉ、これこれ、早まるでない。じゃが、魔物の納品対決では事は収まらんのう。審判のフィールが当事者となった。はてさて、うむ、夏休み前にワシの立ち合いで試合をするんじゃ」
「学園長!今すぐに試合ではなく決闘を!」
そう言ってボッズは前に出た。
試合なら殺し合いにならないが決闘は殺し合いとなる。
「ならん!!!」
マーリンの風でボッズが後ろに吹き飛ばされた。
「2年以上学園で鍛錬を続けたボッズと学園に入って間もないフィールが決闘をすれば結果は見えておる。解散じゃ!学園長権限の決定じゃ!」
「フィール!痛い目に合わせてやる!覚悟しておけ!」
話し合いが終わるとアイラが俺の前に立った。
水色のロングヘアと水色の瞳で優しい表情をしている。
ワンピースタイプの黒い制服が貼りつくように体のラインを強調しており、大きい胸と太ももは魅力的だ。
瞳には涙をうるうると溜めていた。
そうか、アイラが目につくと、そう思っていた。
俺は、アイラの事が、好きなんだ。
好きだから無意識に目が行く。
それだけだったんだ。
「フィール君、ごめんなさい!」
「大丈夫だ。それにやるのは決闘じゃなくて試合だし、まだ時間はある。今の内に力をつける。今すぐに訓練を始める」
そう言ってその場を後にした。
俺はベンチに座る。
フィール・バイブレーション
体力レベル 112(+2)
魔力レベル 105
速力レベル 100
生産レベル 10
知力レベル 151
魅力レベル 450
スキル
『☆秀才』『☆風魔法の才能』『☆イケメン』『☆妖精契約・チンカウバイン』『剣術:中級』『炎魔法:下級』『水・氷魔法:下級』『風魔法:上級』『土魔法:下級』『聖魔法:下級』『闇魔法:下級』『生産魔法:下級』
内政力
爵位:男爵家の息子
兵力レベル:無し
収入レベル:無し
領地レベル:無し
ボッズと俺のスキルに差はない。
剣術と風魔法、伸ばしている系統も一緒だ。
スキルの数だけで言えば俺の方が多いけど下級スキルは戦闘の決め手にならない。
問題は俺の能力値の低さだ。
体力と魔力は俺の倍ほどあり、速力だけは勝っているけどボッズが訓練を続ければ改善されるだろう。
能力値は100を超えたあたりから伸びが鈍化する。
夏休み前までに間に合うか?
チンカウバインが飛んで俺の顔の前で止まった。
「恋愛ポイントが44に貯まっているよ?使えば能力値を44あげられるけど使う?」
「いや、ポイントは出来るだけ後に上げる。もっと上がりにくくなってから使いたい。風魔法を特級に上げられればいいんだけど」
「特級は覚えるまで時間がかかるよ。夏休み前までに間に合わないかもしれないね」
「だよなあ。今は、体力訓練を多めにやる。チンカウバインは恋愛相談を続けて欲しい」
夏休みになるまでは頑張ってみよう。
今は体力を上げて魔力の治癒力を高めつつ空いた時間で速力と魔力をを鍛える。
やってみなければどこまで上げられるか分からないけど、訓練をやってみて、結果を見つつ方向修正していく。
俺はその日、筋トレとダッシュを行った。
俺はボッズが嫌いだ。
ボッズには負けたくない。
【次の日】
朝、起きてすぐにダッシュを開始する。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
終わると食事をして学園で教師の連絡を聞き筋トレを始める。
チンカウバインが飛んできて俺にキスをして魔力補充をして懺悔室に戻って行った。
今は生徒だけでなく学園外からも恋愛相談が集まって来る為朝から夜になるまで魔力をチンカウバインに補充し続ける。
脱力感を感じたが、まだ余裕がある。
ゲームでは同じ訓練を続けると経験値の入りが悪くなる。
ここでもそれは同じで例えば毎回筋トレをやろうとするとすぐに動けなくなり経験値の効率が落ちる。
なので色々なメニューを組み込みつつ訓練を続ける。
筋トレが出来なくなると今度はステップだ。
体は疲れているが構わず続ける。
昼に食事と休憩を挟んで午後も訓練を続け、途中で休憩を挟んで放課後まで訓練を行う。
放課後に休憩を挟むとアイラがタオルを持って来た。
「お疲れ様」
アイラが申し訳なさそうに俺にタオルを手渡してくれた。
「ありがとう」
「……無理しなくていいんだよ」
「俺が、やりたくてやっているんだ」
「でも、そんなに無理をして、倒れちゃう」
「もう少し、もう少し体力が上がれば楽になる気がするんだ。それにこれは自分自身の為にやっている」
感覚的にもっと体力を上げられれば、訓練時間を多く出来る。
伸びにくくなって来た能力値を訓練時間でカバーする!
もしも、ボッズを倒せたら、アイラが嫌がるボッズを倒せたら、気分がいいだろう。
難しいかもしれないけど、難しければ達成した時の気分は更にいいだろう。
「楽しくなって来た。おし!訓練再開だ!」
「なんだか、安心したな」
「ん?」
「訓練で、無理していると思っていたから」
「楽しいぞ」
俺は今、やる気に溢れている!
やった分だけ結果が得られる!
毎日訓練を続けた。
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