第22話

「あっ、ごめん、家の場所言うてなかったね。大国町わかる?そこの駅まで来てくれる?」

「わかった。着いたら連絡する」

聞いたことはあるが、降りたことの無い駅だった。携帯で調べると20分くらいで着くようだった。

少し歩いて中央線に向かい、本町で御堂筋に乗り換えればすぐに大国町に着いた。ホームを降りると御堂筋以外にもう一つ四つ橋線が並列していて窮屈な駅だと感じた。

ホームに立ち、あやに電話をかけた。

「もしもし、何処の出口から出たらいい?」

「2番出口から出てきてー」

とりあえず電話を繋いだまま2番出口に向かった。

階段を登って行くと明らかにあやらしき人物がそこに立っていた。

深夜に店で見た時はOLのような制服を着ていたが、今はジーパンとTシャツの上に薄手のパーカーを羽織っていた。

「遅いって、めっちゃお腹すいたやん」

「いや、ごめんて。もうお腹すいたしか言わんやん、うどんはよ食べに行こう」

「美容師ってめっち働くやん、ブラック企業で訴えたりや」

それはごもっともだと思ったが、美容師とはそうゆうもので誰も労基などには駆け込まないのが現実だ。

「でも、今日は早い方やねん、ごめんな。で、何処のうどん屋行くの?」

「すぐそこにつるとんたんあるから行こう!」

聞いたことの無い名前だったし多分あやの口調で聞いたので何か軽快なリズムのように聞こえてそこが本当にうどん屋か怪しくなった。

店に着くと綺麗な店構えのうどん屋だった。

席に案内されメニューに目を通した、結構沢山の種類があり、意外と値段が高いなと感じた。


自分の中でうどんは、ワンコインかそれ以下くらいの値段だと思っていたが都会の小綺麗なうどん屋はそうではなかった。

「好きなん食べていいよ、俺は何がいいか解らんから一緒のにするわ」

「えっ、本間にー、ほなもう私は決まってんねん」

そう言うとあやは直ぐに定員を呼んだ。

「すいませーん、カツカレーのおうどん2つ下さい」

結構ガッツリとした物を頼んだあやに少し驚いた。見た目が細いので勝手に少食なのかと想像していたがそうでは無さそうだった。

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