第15話 花屋を右

「若、お呼びですか。」

「3番目の花屋を右に曲がったところにあるあんみつ屋のクリームあんみつを買ってきてくれ。」

「クリームあんみつですか?」

「そうだ!」

「かしこまりました!」



花屋を右と呟きながら、屋敷をでる。

「そういえば、お花見をした時、若が自ら拙者のために、クリームあんみつを買ってきてくださったな。あの時若が買って来てくれたお店だろうか。どんなお店か楽しみだなあ。」

とことこ歩きながら、思わず顔がにんまりしてしまう弁慶。

「わざわざ拙者のために若が買いに行ってくださったなんて、恐悦至極です〜若〜!」


とことこ とことこ

花屋を右。


とことこ。とことこ

花屋を右。。。


とことこ とことこ とことこ とことこ・・・

「ん?」

はたっと立ち止まる。


3番目の花屋を、右???

3番目?

右………

えっ?3番目の花屋って??

「・・・」


楽しかったお花見のことを考え、思い出し笑いをしながら歩いていた弁慶の顔は、急に青ざめた!


カァーカァー

夕日が眩しい。

日が沈む。


「・・・ここ、どこ?」


弁慶よ!どこにいる?どこまで行った??

花屋はとうの昔に通り過ぎたぞ!!

そう!それが「うかつぼう弁慶」


果たして若はクリームあんみつを食べられるのか!?

夕飯もどうするんだ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る