第3話: 防戦一方、そして.....

「ルーシェンテ.....お前は確か....」

「ーーはっ!初対面なのにいきなり呼び捨てかよー!?」

ガ――!


キャロラインが防いでくれてる両腕から脚を退かすようにもっと後方へと飛ぶ退ったルーシェンテがそう声を張り上げた。

確かに、彼女は俺達と同年代な15歳で同じ貴族家なんだけど、家の爵位は俺達より上の伯爵家なんだったっけ?ならー


「こ、これは失礼だな、アーグズミョラさん。でもそれはさておく、なんで俺達にいきなり襲い掛かってきたんだ?あんたも俺達と同じ学園生になるんだし、全校集会に行くべきじゃなかったのかな?」

「はー!堂々と違法の【転移魔術(テレトラスポールト)】使用をしておいてよくもまあ白を切ろうとしてんだな、おい!」


赤髪のドリル型巻き毛を揺らしながら左右して頭を振っている彼女がそう糾弾してきた。俺達と同じ白い制服を乱雑に着崩している彼女は不適な笑みを見せながら、その短いスカートを押し上げるように右脚を真上へと上げる。


「来るぞ!」

「心配ご無用です、ご主人様!」


ゴー―――ド!

一応警戒を促してみたがやっぱり予想した通りまたもアーグズミョラさんの凄まじいスピードを難なく目で捉えられ、彼女からの横一直線の薙ぎ払い蹴りを見事に避けきってみせた。一般人から見れば、確かに雷のような速さではあるが、俺やキャロラインほどにもなると、動きをある程度目で追えることができるのだ。


「あまいー!【魔気流指突(ウネールヴェード)】ー!」

避けるために空中へと飛びあがったキャロラインを愚かだと思ったのか、そう叫んだアーグズミョラさんは人差し指を空中にいる我がメイドを【ウネールヴェード】という集積された赤色の魔気流を指からの放出で打ち抜こうとしたが、


「その程度?」

やっぱり優秀なメイドであるということは変わらない。身体を捻って斜め下へと向きを変えてスピンしたことでまたも避けられた。でも、数秒の内にあれほど素早い動くをしていたのにも関わらず、かろうじてその短い制服のスカートがひらひらと捲られたのを目撃してしまったのがなんとも....そのぉ.....目のやり場に困るというかなんというか.......


「バカ―!まんまとウチの術中にハマりやがったな!」

「!?」


そう、【魔気流指突(ウネールヴェード)】を避けることだけに意識を集中させて着地へと向けて下方へと身体を回転したキャロラインだったが、その無防備なところを狙うように、


「せいーーー!」

間髪入れずに、斜め上へと飛びあがって強烈な飛び蹴りを見舞いしようとした!


シュー――!

だが!


「そうはさせないぞ!」

割った入るように、俺は事前に【身体強化魔術(エール=ドル二エール)】にて強化させた身体ごと空中を翔けるアーグズミョラさんにぶつけてみた。もちろん、その飛び蹴りをこの腕で払いのけながら。


「ぬー!?」

吹き飛ばされて一瞬たじろいだドリル型巻き毛なバイオレンス令嬢。


「くー!」

やっぱり、【身体強化魔術(エール=ドル二エール)】が付与してあってもぎしぎしと痛むことになるか、俺の腕と肩が...。強いぞ、彼女!


「おっと。僕のことも忘れてもらっては困るよ」

「あたしもね~!にしし!」


今度、俺とアーグズミョラさんとの間を挟むように、我が友人であるアンドルーとアリシアがこっちへ跳んできて俺とキャロラインを庇うように立ちはだかるようにしてくれた。


「はーッ!弱い者ほどよく群れるようになったモンだぜぇー!てめえら!」

なおも闘気が全然衰えない彼女がまたも攻撃を仕掛ける素振りを見せる、が!


「そこまでよ、アーグズミョラ!」

ター!


今度はアーグズミョラの前に人が立ちはだかるように上から着地してきた。

何物だ!?


「げーッ!会長かよっー!?あいつらが違法魔術の使用をするだろうという予感があったというからあっしにここを見張っておけと頼みやがったじゃん!」

「でも、襲ってもいいとは言ってないはず。連れてこいとは口にしただけよ?」


目の前にいるのは銀髪ロングで長身な体格をしている女子学園生で、その白いタイツに包まれている長い脚とくびれた腰との二つの魅力的な要素が彼女の整った白くて美しい顔とのブレンドをいっそう際立たせているものとなった。


心なしか、なんかこっちへと微笑を浮かべる彼女がいるけど、どこか首の後ろに冷や汗が垂れ落ちるみたいな悪寒が走るのはなんでなんだろう....?


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