第8話 スローライフの書き方

 やあ皆さんごきげんよう。

 最近新作を投稿しておらず生存報告もかねてこのエッセイを書く。

 実は某所で、


『スローライフ物の面白さ、書き方がわからない』


 という話があってそれに吾輩が答えたのだ。

 なので今回はその時書いた内容をまとめたものになる。


 あくまでもこれは吾輩の独断で感じたことの内容なので違う事があるかもしれない。

 またどの要素が無くてもヒット作になる可能性は必ずあるのでご容赦を!


 それでは始めます!




 1 主人公は基本男


 これはスローライフの生活基盤を独自に作り上げていく凝り性な性格が基本男性だからだな。

 女性の場合は他人に用意させる方が多いから⋯⋯まあ偏見だが。

 男の日曜大工の延長と考えて欲しい、女はしないだろ?


 2 主人公は基本年配のストレスのある人間


 会社勤めなどのストレスからの解放が物語のカタルシスとなる。

 なので主人公は元ニートや学生では説得力が無くなるのだ。


 仕事や家族から解放されてただ趣味だけに没頭できる人生⋯⋯素晴らしいだろ?


 3 家族は無い方がいい


 スローライフの魅力は、社会や仕事や家族からの解放なのだが⋯⋯

 もともと家族が居たという設定だけは無い方がいい。

 何故なら家族を捨てて一人スローライフを満喫する主人公に共感できるか?

 むしろヘイトが集まるだろう。


 どうしても元家族を書きたいなら主人公が捨てるだけの理由が必要でありその後の『ざまぁ』も書かねばならん。

 しかしそれが作品の雰囲気をぶち壊すかもしれん。


 4 主人公は無個性


 特徴ある個性的な他人のスローライフを眺めるほどつまらん話はない。

 それはハイファンタジーの分野だ。


 スローライフ物の役目は読者が感情移入できるように、主人公の個性は極力排除して『なりきって楽しんでもらうこと』だ。


 5 物づくり


 基本的に快適な生活の基盤となるものを主人公が自身で工夫して作る。

 完璧なものでなくともよい。

 結果ではなく過程を楽しませる作品なのだから。


 バーベキュー用のコンロを下手くそでも自作するようなもんだな。

 買えば簡単なのに自作するおっさん多いだろ?


 6 イベント


 主人公が自分の為に作った趣味の物が異世界人には珍しい画期的なものだった⋯⋯というのがわかりやすい導入だな。


 スローライフの主人公は社会が嫌で孤立を選んでいるんだが⋯⋯読者は違う!

 主人公には無くても『読者には承認欲求があるのだ!』それを満たすためのイベントが必要になる!


 何もしたくない、でも誰からも必要とされないのは嫌だ!


『誰かに必要とされたい!』


 こんな願望をかなえるイベントを起こそう。


 この主人公と読者で目的が食い違うから基本的に⋯⋯


「やれやれ、何もしたくないのに。 またなにかやっちゃいますね、俺w」


 という主人公の歪みになるのだ。


 7 ヒロイン


 実は⋯⋯要らない。

 なぜなら同居人はスローライフの天敵だからだ。

 なのでみんな『犬』を飼うのだ。


 8 ヒロイン2


 でもやっぱり華やかさは欲しいので女は増えますwww

 ここで需要なのは⋯⋯


『ヒロインの鬱陶しさよりも、餌付けするなどの承認欲求が上回る事が必須です』


 口減らしで捨てられた農村の少女、後の無い商会の娘。

 こういった悲劇の女を救うメサイアコンプレックスも重要な事です。


 9 男も必要


 女を侍らす美少女動物園でもいいのだが⋯⋯若い男も良いです。

 自分よりも若い男に知識や経験を語って育てる⋯⋯これも承認欲求の形だ。

 自分の言う事を素直に聞く後輩は可愛いだろう?


 10 登場人物全員、主人公の下位互換


 これは他人にしかできない技術などが主人公の生活必需品になるとストレスになるからだ。

 0から作り上げた自分の城が、他人に支えられるのは不愉快なのである。


 11 王になる


 これは誰かに仕えるというのはNGという事だな。

 だってストレスだろう?

 そういう社会の枠組からの脱却がスローライフの醍醐味なのだから。


 でもたまに偉い人の頼みを『聞いてやる』という行為は大きな満足感を読者に伝えるのでそれは書こう!


 12 家族は作らない


 家族⋯⋯これこそが一番のストレスの元凶だ。

 たとえ美少女たちに囲まれた生活になってもそれは、


『家族ではなくペットだと意識して書くのだ!』


 なのでハーレムに加わった女性は基本『すごいですbot』になる。

 それまであったヒロインの人格や尊厳などもう書かなくてよい。


 女たち(ペット)には主人公が必要。

 でも主人公には女たち(ハーレム)は無くてもいい。

 こういう力関係の維持を心がけろ。


 ハーレムが必要なのは主人公ではなくて『読者』なのだから。


 こういうハーレムの事を吾輩は『シェアダーリン』と呼んで区別している。

 主人公にとって基本的には必要ない女たちなので。


 13 エンディング


 無いんだな⋯⋯これが、しいて言うなら⋯⋯


『仲良くなった女と結婚して子供が出来る』


 ある意味コレがもっともスローライフの終焉なのだ。


 自分の為に生きてきた主人公が、誰かの為に生きる人生に変わるのだからな⋯⋯


 ── ※ ── ※ ──


 ⋯⋯こうやって要素を抜き出すと幻滅するなあスローライフに。

 でもそれを読者に感じさせない『優しい嘘』で包む筆力を見せるのだ!


 いかがだろうか?

 もちろんこれが全てではない。

 これら以外にも何かあるだろう。


 それにこれらの要素を無視して書いても成功している作品はいくらでもあるのだ。


 では皆さん! レッツ、スローライフへ!

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