第1話 学校
やはり平和な学校だ。
姉と妹、俺達は歳は変わらないので同じクラスだ。
もちろん主人公もいる。喋ったことはないけど。
で、昼休みは人気のない屋上で姉達と飯を食べて過ごす。
日課としては……。
「やっぱりか」
1人の女子をストーカーする男……をストーカーする俺。
女子はまったく知らない人だ。ヒロインでもないから出番のなかった人間だろう。
とりあえず、助けないとな。
少しずつ、ストーカーに近づく。
ストーカーも同じく女子の背後に近づく。
……そして、ストーカーが手を伸ばす。
と、同時に、俺はそのストーカーの頭を殴った。
路地裏に吹っ飛ぶストーカー。
意識は多分ない……か。
「聞こえるか?」
「う……が……」
「これに懲りたらもうこんな事するなよ」
そう、これが俺の日課だった。
野蛮な世界。狙われる人間を守っていた。
「あの……」
「へっ?」
背後から声、振り向くと助けた女子だった。
…………どう言い訳しよう?
「た、助けてくれてありがとうございます!」
「えっ?」
あれ、知ってたのか?
「一応、追われてる事はわかって、走ろうとはしたんです」
「怖くて走れなかったのか?」
「……それも少しはあります」
けど、と言って。長めのスカートを少し捲り、脚を見せてきた。
そして見えたのは酷い怪我だ。脹脛には血がだらだらと流れていた。
「うわぁ……だ、大丈夫なのか?」
「まあ……走ろうとしたんですけど、痛くて、転びそうになって」
「なるほどな」
これは……どうするのが正解だ?
「家に戻ってお母さんに言おうとしてた所でした」
「ふむ、じゃあ俺の家来るか? 俺の姉さんだったら多少は治してくれるぞ?」
確か、
故に、回復魔法に目覚めた。だからある程度なら治してくれるはずだ。
「いえ、それは迷惑だと思いますので……」
「……? 才華、そこで何をしているんだ?」
「おおっと……これはタイミングのいい。この人、脚を怪我しちゃってな。そこで姉さんが……って所だ」
「ふむ、わかった」
ガシッと女子の肩を掴む姉さん。多分連れて行くのだろう。
あばよ、お達者でな。
……時は流れ家の中。あの女子はある程度動ける様になって家に帰った。
姉と妹はクラス……学校で人気だ。
妹は器用で優しい……怖がりでもある。
姉は強気で賢く、皆んなの問題を解決してくれる存在だ。
もちろん、リーダーポジでもある姉や妹。男子からもその可愛さ故に人気が高い。
狙われる可能性がある、だけど、2人は案外戦闘が出来る。
主人公が2人を助ける時、2人は戦っていた、素手でだ。戦闘慣れ……とまではいかないが、少しの経験はあった様だ。
「……勉強でもするか」
勉強は嫌いではない……かといって、好きな訳でもない。
黙々とペンを走らせる。
モブになった事は受け入れている。まず誰になったって、やる事は同じだ、善意で人を助ける。それだけだ。
「……ふう、もういいかな」
教わった事を頭に入れて、今日は終了する。
ベットに寝転んで、意識がなくなるのを待った。
……朝だ。
妹の作った飯を食べて学校に行く準備をする。
親父はいつも家にいる。親父の妻は昔、病で息を引き取った。
親父は姉と妹のお陰でなんとか立ち直った。
ってか、このモブはどんな生活を送っていたんだ? この家庭は裕福だ。なんでも買えるほどの余裕はある。
モブの性格は普通だ。ちょっと他と違う点を言うなら成績上位者……って事くらいだ。
親父は優しく、厳しさはあんまりない人だ。何処がふざけた所もある。
ま、そんな普通の家庭だ。
いつも通り周りを見ながら学校への道を進む。
今回は事件もなんもなさそうだ。
……そのまま学校に着き、いつも通り勉強をする。
そろそろテスト期間……か。家に帰ったら少し長めに勉強をしよう。
……昼休み、屋上で清華と飯を食べていた。
「そう言えば、才華お兄さんって勉強得意でしたよね」
「まあそうだな……逆に、清華は勉強が苦手だったんだっけ?」
「はい……という事で、教えてくれませんか?」
「まあ、そうだと思ったよ」
俺からしたら別に問題はない……か。
「いいよ、ただ恵姉さんでも良かっただろ?」
「お姉ちゃんは大変そうなので」
「俺も大変なんですけどね???」
ま、いつも助けてもらってばかりだし、今度は助ける側に回ろうか。
「ま、明日、学校から帰ってきたら教えるよ」
「はい、ありがとうございます!」
満面の笑みで感謝される。
……家に帰ったから勉強するか。
自室でペンを走らせる。
とりあえずは……成績を維持しようかな。
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