緊急入院⑧ 三月上旬 ステロイドパルス療法
その日のお昼ご飯も変わらずのムース色だったが、少しだけ慣れてきたのか本当にマズイおかず以外は割と普通に食べた気がする。
本当に人間慣れるものですね。私、お粥も嫌いなんですが途中からはもう"うめえ、うめえ!"と、お粥をかき込んでました。
午後になり、看護師さん登場。
「点滴の治療はじめますねー。こまめにバイタル確認しながら行いますけど、何か身体に異変あったら中止するんで、呼んで下さいねー」
身体に異変って……普通に怖いな。
ステロイドパルスとかの点滴治療はあんまりネットで調べなかったのです。先生からの説明も強めのステロイドを落としますくらいだったし。
ということで、一応説明します。
ステロイドパルス療法は1グラムのステロイドを3日間連続で点滴することを1クールとして行う治療法です。
1グラムというとピンとこないのですが、私がこの時内服で飲んでいたプレドニンの量が20mg。1グラム=1000mg 。単純計算50倍ですね。考え方合ってるのか知りませんが、まあ普通にやばい量点滴されますよってことでしょう。
そして、ドキドキしつつも点滴開始。
滴下が始まると看護師さんが割と頻回に様子を見に来たり、バイタルをこまめに測ったりと慎重に対応される。初回だから特に注意深く観察しないといけないらしいです。
ただ、特に変わりもなくバイタルも問題なし。自分でも「なんだ、こんなもんか」っていうくらい、これといった自覚症状も現れなかった。
そのまま、なんてことなく終了。
「はい、お疲れ様でしたー。調子どうですか?」
「いや、まあなんかちょっと身体熱くなってきた気がしますけど。全然変わりないです」
「良かったです。なにかあったら呼んで下さいね。あと、夜ご飯前から血糖値測りはじめますからね」
血糖値測るの? 普通に嫌だ。
仕事柄、何回も人の血糖は測ってきたけど、あの針刺されるの怖いんだよなあ……
「血糖値測るって、この点滴のせいですか?」
「ステロイドパルスやると血糖値あがることが多くて、高い場合は食前にインシュリン打たなきゃいけないんですよー」
「ああ……はい」
インシュリンも普通に針だしなあ。やだなあ。点滴常時繋がってるのも嫌だし、しょっ中血液検査で採血されるのも嫌だし。この入院中でどれだけ刺されまくるんだろうか……
(案の定ここから刺されまくり、両腕とお腹が内出血だらけになります。イジメをうけている陰キャみたいなルックスだなあと鏡を見て自分で思いましたね)
「あと、夕方前にはお部屋移動しますね。次は多少は落ち着いて過ごせるお部屋だと思いますので」
「気遣って頂いてすんません……」
と潮らしくしながら、内心ガッツポーズ。
うっひょおおおお、このカオスな病室からおさらばだぜ! 今日の夜は絶対寝る! アホみたいに寝てやる!……と喜んでたのですが。
まあ、入院というのはそう上手くはいきませんよ。
そして、看護師さんに手伝ってもらいながらお部屋移動。
同室の人達はみんなしっかりした人達ばかりで、重症な方も特にいない。前の部屋とは全然違って、すごい落ち着いた空気感でした。
そして、夕方にはまた担当医が回診に来る訳
ですが、今までの先生ともう一人知らない先生が登場。
「はじめまして、担当医の○○です。よろしくお願いしますね」
今まで説明とかしてくれてた先生が担当医だと思い込んでたけど、自分のネームプレートのところに書いてある担当医の名前は確かにこの人の名前だった。
前の病院からの紹介、引き継ぎの先生がそのまま対応してくれていただけであって、私の入院中の担当医はこちらの先生になります。
凄い若い先生で、後々歳を聞いてみたら自分より二つほど歳下でした。わりと仲良くなります。
「点滴後、体調どうですか?」
「変わりないです。良くもなってませんが……」
「まあ、そんなすぐに効果が出るとも限りませんので。長い目でやっていきましょう。特に大きな副作用とかもなかったので、予定通り明日も同じ点滴やっていきますね」
「お願いします」
「では、また明日朝きますねー」
そう言いながらさらっと二人の先生は去ってゆく。先生の回診って朝夕あるんですが、とてもあっさりしてます。
沢山の患者さんの回診して、その後外来やって、また回診してとかで、とにかく先生達は毎日忙しそうでした。っていうか、いつ休んでるんだろうってくらい当直含めて毎日出勤してましたね。
そして、夕飯前に血糖値測定。
「チクッとしますよー」
と、指先に針を刺される。出た血から血糖値を測定します。慣れるまでは刺された瞬間ビクッとしますね。
ちなみにこの日は血糖値は正常でインシュリンはなし。
そして前日全く寝れてない私は、夕食を終えすぐに寝る準備に入る訳なのだけれど……
ここからステロイドパルスの副作用がガッツリと始まる訳なのです。
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