応援コメント

緊急入院 二月下旬」への応援コメント


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    危ないところでしたね。読んでいてドキドキしました。おそらく「精神的にダウンしたから身体がつらくなった」のではなく(もちろんそれも影響していると思いますが)、「病勢が急に進行(よくあることです)して、本当に身体が動かなくなってきていた」のだと思います。

    「筋肉が動きにくくなる」系の疾患で一番怖いのは、呼吸に関連する筋肉の機能が低下し、呼吸に問題が生じたときです。健康な人でも、10分呼吸が止まれば死んでしまうので、呼吸のトラブルは死と隣り合わせ、だと常に認識しています。

    拙著「保谷君、町のお医者さんとしてがんばる」の35話に書きましたが、「2日前から急に全身に力が入らなくなった」ということで来院された40代の男性。診察すると明らかに、「それまで普通の生活をしていた人」とは思えないほどの筋力低下がありました。もちろん力そのものの評価だけではなく、筋力が低下した時に見られる様々な体の動き方の特徴も確認し、「詐病(仮病)」ではなく、「本当に」著明な筋力低下があると判断しました。

    数日の経過で、ここまで筋力が低下する疾患、と考えると「ギラン・バレー症候群」が最も可能性が高い、と考えました。

    「ギラン・バレー症候群」そのものの診断は、町の診療所でつけることができるものではないので、一番怖い「呼吸機能の低下」が起きているかどうかを次に評価しました。

    COVID-19の流行で一躍有名になった「パルスオキシメーター」ですが、これは動脈血の酸素飽和度(ヘモグロビンの中で、酸素がくっついたヘモグロビンの割合)を測定する機械です。しかし、酸素飽和度が低下している呼吸筋麻痺なら、速やかに人工呼吸器をつけなければいけません。パルスオキシメーターでは、軽度~中等度の呼吸筋麻痺は評価できないのです。

    血液中の二酸化炭素濃度と、血液の酸性度は呼吸の状態を含めた全身状態を反映します。「血液ガス分析」と言いますが、診療所にはポンコツでしたが「血液ガス分析機」がたまたまあったので(そんなものは持っていない開業医がほとんどです)、静脈血で評価しました。

    呼吸が不十分になると、血液中の二酸化炭素が溜まり、身体は若干酸性に傾きます。患者さんの血液ガス分析結果は、まさしくそのようになっており、呼吸筋麻痺が存在することが分かりました。

    漫画「ドラえもん」では、ドラえもんがパニックになると「〇△◇×~」と言いながら、めくらめっぽう四次元ポケットから道具を放り投げていきますが、その時の私の気持ちも「〇△◇×~!!」という状態でした。

    大急ぎで大学病院の神経内科に連絡、状態を伝えると、15分ほどで折り返しの電話があり、「すぐ救急車で来てください」とのこと。待っている15分の間に患者さん、ご両親に病気のこと、今置かれている状況についてしっかり説明し、ご理解いただいていました。

    大慌てで、市の救急車で大学病院に運ばれ、しっかり治療を受けられ、患者さんは後日元気に受診されましたが、「筋力が低下する疾患」での呼吸筋麻痺、本当に冷や汗をかいたことを思い出しました。

    長くなり、失礼しました。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます!
    おっしゃる通りで、あの時は病状がどんどん進行していたのだと思います。色々と調べていたので呼吸麻痺の可能性、怖さも頭の中にはありました。
    病院行かなきゃ!という思考は常にあったのですが、色々なことを受け止めたくなくて様子見しちゃったんですよ。ダメな例です。

    ネタバレですが、この後症状の進行の早さを懸念され救急車乗せられ入院となります。その判断をしてくれて、本当に良かったです。