17枚目 春の残滓(ざんし)

 四月も下旬。春の暖かさも潜み、夏の暑さが現れはじめています。夏の暑さは、辛い。午前中から降りそそぐ日差しや、その暑さで揺らぐ風景は、自分の過去をそっと思いださせる魔法のようで、同時に「もう、許して下さい」と思わせる魔術でもあります。


 その魔術は、夜にも襲ってくる。気温の低い日でも、エアコン無しでは眠れません。寝間着のそれが、自分の汗でビチャビチャになります。だから基本、夏は苦手ですね。冬も冬で、苦手ですが。熱は冬よりも、体力の消費がヤバイ。少し歩いただけで、「あちぃ」と漏らしてしまいます。


 あの暑さは、何とかならないでしょうか? 今の季節が、本当に恋しくなります。今の季節は、秋と並んで好きな季節です。秋は「涼しさ」と「実り」のある季節、初夏は若葉が生い茂る季節です。春の光に隠れていた緑が、その主役交代を果たす。桜の花に主役を譲っていた物が、「今度は自分の番だ」と踊りだす。


 そんな雰囲気が漂う初夏は、写真の撮影にも素晴らしい季節です。程よい気温の中、自分の周りをじっくりと見わたす。自分の周りには様々な物がありますが、そのすべてに理性と情緒があります。今回撮った写真にも、その二つが感じられました。写真は、下のURLからも見られます。

 

https://kakuyomu.jp/users/azybcxdvewg/news/16817330656207289002


 いつもの撮影場所で、「何か良い被写体はないかな?」と歩いていた時。ある木にふと目をやると、そこには美しい花が咲いている。土曜日の風に揺れて、その桃色を光らせている。木の周りに生えているタンポポも、その風にゆらゆらと揺れていました。


 僕は、その花に胸が躍りました。所謂、「エモい」と言う感じ。理性と情緒が同時に動いて、「これは、撮らなければ!」となったわけです。僕は木の前に歩みよって、様々な角度から「それ」を撮りました。


 撮れた一枚が気に入らなければ、消去。もう一度撮って、それでもダメなら削除。写真は一撃で仕留めるのが難しいため、「これだ」と思う物が撮れるまでは、何回もシャッターを押しつづけます。「もう少し、左へ」、「もう少し、上へ」、そんな風に撮りつづけるわけですね。


 「同じ物は、もう二度と撮れないから」と、この一期一会に◯集中するわけです。そうして、納得の一枚を選ぶ。自分の一番好きな写真を選ぶわけです。これが、今回の素材になる。素材はいつもの流れで現像を行い、「この写真が最も良い状態」と思われる物にして、この写真を完成させます。


 出来上がった写真は、PCのフォルダに保存。今日の一品に「いやはや、満足」と眺めます。まあ、完全に道楽ですね。ですが、この道楽が面白い。自分の人生を豊かにしてくれるので、「これからも楽しい写真ライフを続けたいい」と思います。今回も最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

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