消える遊女
次の日の朝、お松と花子は岡っ引きに昨日の怪談話を聞かせた。
それから事が運ぶのはそうかからなかった。萩姉は岡っ引きに確保され、そのまま留置所に連れていかれた。その後萩姉は無実を主張したが、あの井戸の直ぐ傍に住む男の子が萩姉の名前入り簪を見つけたことによって等々言い逃れができなくなった途端彼女の本性が明るみに出た。事情聴取している時の彼女は獣同様だった。
彼女の証言は、彼女には元々結婚を約束した者がいたのだが両親に遊女として遊郭に売られらしく、そこから脱出してその男と婚約するために遊郭1の花魁を目指そうと売れそうな遊女と人気な遊女を片っ端から殺す算段だったらしい。
遊郭という場所は何が起きても不思議ではない、自分が一番になろうとしている者、速く遊郭から出ようとしている者が激しく火花を散らしているのが多い。
花子とお松が働いている揚屋は今にも潰れかかっている、もうすぐ店じまいだろう。それは店から遊女殺しが出てしまったのだから仕方があるまい。
結局遊女は皆バラバラに生活することになってしまったが、決して全員が悪者という訳ではない。なのでこれからの道に光がただ光輝いているのを願うしかない。
遊郭の鬼 鷹島隆夫 @yuureiyashiki
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