薩摩藩士
その後、岡っ引きはすぐ近くの揚屋の「萩本屋」に目を付けたのが、最初に発見された死体の顔は夏のジワジワと来る暑さから腐敗がだいぶ進んで、目や口からは蛆がうじゃうじゃ溢れて見るに堪えない。
しかし顔立ちや唇の右下にあるほくろで、すぐに萩本屋の遊女お勝だと分かり、今関係者の全員の話を聞いている。最中だが一向に犯人だと睨める人物が現れなく、万事休すである。
犯人は目の前に堂々とぶら下がっているのに、形すら見えない、気配だけが分かる。
もしかすると遊女でよくある痴情のもつれではあるまいか。ほんの少し前に薩摩藩士の手によって遊女が五人も殺された事件が起きたばっかりで、もしかするとこの事件も同様ではあるまいかと睨んで・・・・しかしながら白骨化死体や死んだ者達が多すぎて関係者一同、行方不明見になった時間帯を唯一お繁の時間帯しか覚えておらず、なのでお繁が失踪した日暮れの八時を元に三日間、お繁の相手をしていた男達にその時間帯を話を聞いてみたが全員仲間と酒場で酒を飲んでいた、他の遊女と一夜を共にしていたなど、アリバイは全員確実であり。痴情の可能性が消えた。
そんな中萩本屋の従業員が一人、女将に直接会わず退職届けと書かれた便箋だけを残して去った。
女将さん、突然ながら申し訳ありません。叶えぬ願いながらも、どうか私をお探しならぬよう。
珠江
お繁の一件以来、桔梗屋と萩本屋という人肌を重ねる揚屋が終わりに淡々と導かれることに、男は何も思わないだろうが、死体が出るたびに目が渋々痛くなる、なんとかしようと何らかの努力しているのだが中々戻らなく雀の涙、男が見世物に来たのだがお気に入りがいないとか、いつも同じ奴らばっかりで飽きたとか言って離れていく、そんな男たちが萩本屋を離れていく一番大きく関係しているのは殺人鬼がいる揚屋だと噂が瞬く間に遊郭内で広がったことである。
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