第27話 幼武大王の影(10)
いつも心の赴くままに走り回っていた。
その子が、
しかし、その平群の姫を遠くへ追いやられて、机の前の椅子に座って
姫に
その姿こそが鷦鷯だ。
良いことではないのだろう。でも、鷦鷯というのはそういうことをする男の子なのだ。
姫は目を閉じてから、父に問う。
「鷦鷯に、そんなことができるのですか?」
父は答える。
「できなくても、なってもらわねばならぬ」
いや。
なってもらおうとしても、なってもらえないから、できない、と言うのであって。
父が重い声で言う。
「
「心のままに、だと」
と、すかさず、
「それはおよそ
姫が急いでことばを継ぐ。
「それが鷦鷯にできると、父上はお考えですか?」
姫が言わなければ梅が言うことになるが、そんなことを梅に言わせれば、梅が、鷦鷯を、
それにしても、と、姫は驚く。
どうして、鷦鷯が学んでいる文に書いてあることまで、梅は知っているのだろう?
「だから」
姫に答える父の声は震えていた。
「鷦鷯一人の
そのために、鷦鷯には礼と
しかし、鷦鷯はそれに耐え抜くことができるか?
やはり、鷦鷯には、
もっと小さかったころにやっていたように。
そして、その
しかし。
父大王はつぶやくように言った。
「そう決めたのだ。だから、せめて鷦鷯の学びを
大王は顔を伏せて目を上げる。
その目の
姫は、梅と顔を見合わせて、大王の大宮から
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