第26話 幼武大王の影(9)
「しかし、この父にはできぬ」
と、父
顔を伏せたその大王の髪には白い髪が混じっている。
たしかに父は
弟の
その
「
そう言って、大王は笑う。
「
だから、吉備臣を側に近づけることもできなければ、平群の姫を
「もう幼武大王の世の前には戻れぬ。といって、幼武大王のやり方をそのまま続けることもできぬ。まだ幼武大王の残してくれた勢いが
何とかせねば、と言われても。
何をすればよいのだろう?
姫には思いつかない。
梅は、まばたきをして、まっすぐ大王を見ている。
「そう、二人でじっと見るな」
と父大王は言う。
笑みを浮かべて。
自分の娘と、その娘のことばを伝えるのが仕事の少女と。
姫も梅も、その笑いにはつきあわず、大王の次のことばを待っている。
「そのための、
そう言って息をついた父
「国の人の守るべき礼を定める。国の人らの
大王は、しばし黙った。
続ける。
「神の
「鷦鷯に!」
姫が声を上げる。
梅が姫のほうに顔を向けて、姫を見ている。
そんなに声を上げる前に止めたかったのかも知れない。
もう間に合わない。
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