第20話 幼武大王の影(3)
姫は口をとがらす。
「べつにわたしがその
その
父は怒るかな、と思った。
姫がこれからずっと心やすく生きて行けるように、その名代を姫につけてくれたのだろうから。
しかし、父は、怒りもせず
「そういうわけにはいかぬのだ」
と言う。
よい
父大王が続ける。
「
雄朝津間大王は
父大王は、唇をきゅっと結んで姫を見上げる。
「それと、幼武大王がお持ちになっていた
と父大王は短くため息をついた。
「上の姉姫は
何、それ、と思う。
でも、そんなものなのかも知れない、とも思う。
民のなかで育ち、いきなり大王の大宮に連れて来られ、いまは大王の娘として生きる姫には、大王の族の思いも民の思いもわかるといえばわかる。
わからないといえば、わからない。
「泊瀬部を継いで幼武大王を嗣ぎ、和珥臣の
だから、って、好きな娘と別れさせて、しかも、その
父大王が続ける。
「
たしか、この石上から
訪れたことはない。
和珥の族は、この和珥の邑から北、
しかし、それは、
「
つまり、姫を憎み、父を
「認めよとは言わぬ。だが、わかってやってくれ」
姫は何を言っていいかわからない。
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