第19話 幼武大王の影(2)
「
父
「その受け継いだ血筋が消えて行くのが耐えられぬのだな」
言って、耳の下のところを軽く指で
「
姫を斜めに見て、言う。
「幼武大王の大后は大王と好き合って大王に
父大王は声を
「吉備の妃のほうは、幼武大王がよこしまな恋心を抱いて、夫を
姫が問う。
「賢い
もちろん、姫はそう思ってはいない。
それは、父も知っているだろう。
「自分を
姫の問いには答えず、言う。
「向こうで
つまり、「あの幼武大王」は、自分が好きな女を妃に娶ることよりも、大和の国の勢いが遠くまで及ぶことをより強く願っていた、そういうひとだった、ということだろう。
吉備臣もそれがわかっていた。
父
「
父大王は目もとに笑いをたたえた。
「それがおまえの母の母だ。たいそうお美しい方だったという」
それが、
「しかし、和珥臣でも
「きわめて」を強めて「きわぁめて」のように父は言った。
その「大王の位にきわぁめて遠い王の族」とは?
言うまでもない。父大王そのひとのことだ。
「それが母
それが、その
「もし、その白髪大王に王子が一人でもいれば、この父も、弟の
それはそうだ。
王の族であったころでさえ、娘が冬に
「それは、母大后としては、
ちらっ、と、父大王は姫を見た。
「その
そんなわけで母は姫を憎んでいるのか!
しかし。
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