第15話 大王とその娘(1)
父
いつものことで、朝の
朝の政で決めきれなかったことを話すために。
母の
「下がりなさい」
と母は幸に言う。
白い
これは
だが、初めから
「おまえなど死ぬがよい」
と、あらん限りの憎しみをこめて言われて、かえって心が落ち着いた。
胸のなかからはどくどくと打つ音が耳
「そうはおっしゃっても、わたしをお産みになったのは母上ですよ」
「その母が死ぬがよいと言っているのです」
母は繰り返す。姫は返す。
「いやです」
これで、母が刃を持って襲いかかってきたりしたら、姫には何もできない。
だが、姫が血を流し、大王の大宮を
少なくともこの大宮の建物は使えなくなる。
もっとも、ここで捕らえさせ、縛って外に連れて行って殺す、ということはできるが、捕り手も兵も
「何が、いやです、ですか」
それはもちろん、死ぬのはいや、と言っているのだが。
繰り返してもしかたがないので、黙っている。
母が言いつのる。
「
「ようやく」というのは、その
言わずにおく。
それよりも、母がそう言うなら、姫にも言うことがある。
「先に、父上は
「おまえなどの知ったことではない!」
母がまた声を荒らげる。
「鷦鷯は
ここで母は口を強く結んだ。
口を結んで姫をしばらくにらみつける。
言う。
「鷦鷯はわが父
わざと姫に向かって姫が腹を立てるであろうことを言っているのはわかった。
わかったうえで、乗る。
思い切って、
「父大王の
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