第8話 大鷦鷯命(1)
「それで、その、
「ああ。
「うん」
姫は軽く上目づかいで姉姫を見る。姉姫はふっと笑った。
「やめなさいよ。そうやって
姉姫と並んで座る
「だって、わたしは妹で歳も小さいし体も小さいんだから、しかたないじゃありませんか」
と言うと、姉が笑った。
強弓も軽く笑った。
梅まで笑った!
姫の
「そう。あなたはいまよりまだ小さかったから、覚えてないかな?」
姫がむくれているのには取り合わず、姉姫は言った。
「
「覚えてない」
こんどは窺うようにならないように、姉の顔をはっきり見て姫は答える。
「小さい」を繰り返す姉が腹立たしくもあった。
姉はやっぱり笑った。
「でも、船で来たのは覚えてるよね?」
「うん」
そこから川に入り、また流れの激しい瀬を通り、
磐余池で陸に上がり、
疲れ果てていた。歩くのはもう少し速くていいから、早く着かないかな、と、そればかり思っていたのを覚えている。
「そのとき通った大きな湖が
「ふうん」
窺うようにならないように声を立てる。姉姫はまたくすんと笑った。
姫が何をしても姉姫は笑うのだ。
でも姫が何をしても怒る母上よりはましだと思う。
「その草香の津と海とをつなぐ
「はいっ?」
こんどは
あの、大和の野を北から南へ
そんなことができるのだろうか?
神様ではなく、人に。
たとえそれが勢いのある
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