第7話 春日の桃
「
と食べながらしゃべっている姉姫のありさまのほうが御言持ちの
姫は上目づかいでその姉姫を見る。
姫と姉姫の上には、もう一人、
「大姉君はお
「ま。健やかかも知れんが、
ふふふん、と笑う。
「何せ、あの母君の里だからね」
それでありさまがわかってしまう。
いいことなのかどうか。
この姉と妹、それに
母の父はさっき父
ただし、その母の母は、和珥臣の族のなかで、それほど位の高い娘ではなかった。和珥臣の家から「
しかしお美しい方だった。それで幼武大王の目に留まり、妃の一人となって、姫の母、
その和珥臣というのはこの大和の野で古くから勢いのある族だ。
氏としての位も高い。
大姉の高橋郎女がその和珥の族に
母の春日后の名はこの春日という
姫はまだその春日まで行ったことはない。
「それにしても」
大姉ではない姉の
「貧しき民は麦を食えとは」
言って、ふふん、と笑う。
「西の方の民が言いそうなことを言う」
含むところがありそうな顔で姫を見る。
西の
そういうことだろうか。
それにはこだわらないことにする。
「だって」
姫はまだ桃をかじっている。
「わたしたちだって、
まだ小さかった姫たちが飯をねだる横で、
「もう少し待てよ」
と大きな声で言って麦の
いま思えば、娘らが急がせるから麩取りがまともに終わらないまま
姫は続ける。
「父上は変わってしまわれましたね」
あのころは、
それなのに。
「母上は変わらないけどね」
姉姫がまたくすりと笑って言う。
その唇から桃の汁が
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