第3話 大和の野
神の土地だから木を切るのははばかられるということで、
庭に池がないかわり、宮の庭の端の高いところまで行けば
晴れた日には見晴らしがいい。
北には
向かいには
この氏たちの住まうあたりは、よく晴れた日にも薄い
遠いから霞がたなびくのか、この
もっと南に見える山は
姫にはどこが明日香かはわからない。わからないというより、知るのを避けて来た。
なぜかは自分でもよくわからない。
明日香より東、石上の山並みに連なった南には、大王である者の守り神、大王が恐れ
三輪の山の向こうには東へと続く谷筋が広がっていて、そこに
三輪の山の手前、石上より少し南の地がもともと「やまと」と呼ばれた地だという。
この野から、
大王は
いまでは、この野のすべてが大和になり、さらには、
この大和の野のまんなかを春日や
野は、いまも鹿や猪の住まう草地や森と、切り開かれて田になったところ、畑になったところが混じっている。
その田や畑の近くに民が集まって住んでいる村がある。
切り開かれた野には、民が稲を植え、それが育ち、というありさまがよく見えた。
豊かな国。
青い山々に囲まれた、見ていていつまでも
大和は、そういう国だ。
姫は、めぐり合わせで、その大和を治める大王の娘ということになった。
なってしまった。
もう播磨で村の子らと土の上を
村の子らを、いや、その親たちも含めて、天の下の民を上から見下ろす。そういう者になってしまった。
そういえば、と、姫は
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