第四章 66  いい加減情報をまとめようか?



 且つてこの世界は果てしなく広大で一つだった。約140億年前のビッグ・バンによって生まれた宇宙。そこから生まれたと言われる『大いなる意思』は、この宇宙に長い時間をかけて一つの世界を創った。空に星々や太陽、そしてこの地上世界には生物を創ったという。

 その『大いなる意思』はこの世界に誕生した生命を『神』を創り出して管理させることにした。やがて生まれる知的生命体・人類や発展するであろう世界に秩序を与え、平和を保つという使命を与えて。

 だが『大いなる意思』は神とは真逆の存在である、人類や世界に混乱を招き平和を破壊するという使命を与えた『魔神』という存在をも創り出した。

 当然この二つの陣営は対立することになり、長く小競り合いが続くことになる。それが両陣営の大激突に発展したのが、約30万年前に起きた神魔大戦という途轍もない規模の戦争らしい。両者のぶつかり合う力は凄まじく、果てしなく続くかと思われた闘いの最後、超大破壊オーバードライヴという、一つだった世界を数え切れない程のバラバラの欠片にしてしまう程の、それこそビッグ・バンに匹敵する大爆発の様な現象が起こる。次元や時空が歪み、世界は様々な場所へと分かたれてしまったという。元の世界の中心にあった巨大な神樹・世界樹が頑丈で生命力に溢れていた為、その根が繋がっていた部分は違う次元に飛ばされても独立した世界として成り立ち、今も消滅することはなく存在している。そうして散らばった世界をそれぞれ神々が管理しているということだ。

 神魔大戦で両陣営とも互いに多くの神々を失ったため、まだ手が回らない世界もあるし、見つかっていない世界もある。地球の様に不干渉を決め込んでいる管轄者がいる世界もあるということだ。ここニルヴァーナは比較的最近見つかった世界だという。それ以外の世界でも人間は愚かな行為を繰り返し、大虐殺の様な事は他でも起こっているらしい。そのため、どこもこのニルヴァーナの様な形態に文化レベルの世界が多いとのことだ。

 それらの世界にも魔法の概念を与える為、魔素を放つ結晶として魔神を地の底に眠らせている。神魔大戦は結果的には神側の勝利という形で一応幕を閉じた。神々は魔神達から封印術で力を奪い、更に何万年も封印して弱らせてから、この度の第一大迷宮の様に魔素を発生させる装置、媒体の一つとして魔人を最奥に眠らせている。

 今の神々の使命は壊れた世界を一つにすることだが、現状先が見えず手詰まりだということだ。世界樹によって次元を超えて繋がってはいても、全てを把握できていないし、人材不足問題は深刻だ。まだ生まれて一万年も経たない、神としては若いアリアがこんなカオスなニルヴァーナの管轄をしているくらいだしな。


 ……これが今聞いた話だが、ぶっちゃけ意味が余計にわからなくなってきた。スケールが余りにも大き過ぎるのだ。一つずつ疑問を解いていくしかないな。



「……まあ、そういう訳じゃ。まさかアストラリアが大迷宮のことを知らんかったとはのう……」


 説明してくれているのはゼニウスだが、天界を空けることはできないので「ゼニウスくん人形」とかいうふざけた小型のオッサンの人形を、ここ自宅地下の鍛練場、寛ぎスペースに飛ばしてもらって色々と話してもらっていた。アリアは俺が散々文句を言ったのもあるが、ゼニウスのオッサンにトドメを刺されてシュンとしている。最近ポンコツ感が酷過ぎたからな……、多少はしっかりしてくれると助かるんだが。


「その『大いなる意思』ってのは何者かはわからないんですよね? 今でもコンタクトを取って来るんですか?」

「いや、もう神魔大戦以降は何もない……。それに一方的に何かを伝えて来るのみじゃしのう。余達にもアレが何なのかはわからんのじゃよ。すまんな」


 やはりか…。『大いなる意思』とやらの存在は謎だが、そいつが余計な敵対勢力など創らなければこんな事態は起きなかったんじゃないだろうか……? こいつの存在が一番厄介そうだな、だが神々でさえも理解できない様な存在だ。俺がどうこうできる相手じゃないだろうな。今はわからないことは論じるだけ無駄か…。


「じゃあ今ここにいる、猫獣人のイヴァリース、彼女は且つては魔神だった。それが何万年という封印とかの影響で、もう力を失って人族みたいになったってことですか?」


 第一大迷宮の魔石から、剣の呪いを解いて救出した彼女は、大人しく俺の左隣に座っておやつを食べている。あの後すぐ目を覚ましたが、付いて来ると言うので折角だし連れて来たのだ。剣の呪いを解いたことでやけに懐かれたしな。


「そういうことになるな、彼女は過去の記憶は残ってはおらんのかの?」

「イヴァリース、どうなんだ?」


 おやつに夢中な彼女に話しかける。


「むぅー、カーズ、ボクのことはイヴァって呼んでって言ったじゃないのさー」


 ボクっ娘なんだよなあ……、実際に見るのは前世含めて二人目なんだが、関わるのは初めてなんだよ。何でみんなこんなにキャラ濃いの?


「はいはい、悪かったよイヴァ。で、昔の記憶とかあるのか? てかホントに魔神だったのか?」


 全然見えないんだよなあ…、レベルはそこそこだけど。まるで争いごとをするように見えないんだよ。剣聖の称号まで持ってるのに。


「フフーン、よろしいのさー。そして全然覚えてないのさー。剣の扱いだけは多少覚えてるのさー」

「今のやり取り何の意味もなかったな……」

「全く、カーズ様はすぐに女性に懐かれますね……」


 ディードから何だかひんやりする言葉が聞こえて来た…。俺なんか悪いことしたか?


「うーむ、永きに渡る封印と眠りで曖昧になっているのであろうな。もう争う必要がないのは良い事じゃが、彼女が知る魔神側の知識は得られないということかのう…」

「まあ取り敢えず魔神はみんなこんな感じになってるって認識でいいんですか? 他の大迷宮からヤバい奴が湧くとかないんですよね?」

「おそらくはのう。だが個人差もあるじゃろうし、まだ魔神としての意識を持っておる者もおるかも知れぬ。そして魔王復活でこの世界の魔物の動きが活発化するはず。影響がないとは一概には言えぬからのう」

「あの堕天神三人でもうお腹いっぱいなんだけど……。これ以上相手に神が増えたらさすがにやってらんねーよ。それにティミスの行動も怪しい、あの蠅野郎も性悪コウモリとか言ってやがったからな。ゼニウス様、ティミスはよく見張っていてくださいよ」

「うむ、あれは少々奔放さが過ぎるからのう……。此方でも注意をしておこう」


 今ここには俺、アヤ、アリア、アガシャ、ディードにダカルーとイヴァリース。そして念話で連絡を取ってルクスにサーシャも来てもらっている。エリユズ達は魔王領でサバイバルらしい…。超危険地帯だったよな? さすが神の修行、そんなとこに置き去りとはエグイ。親父は上の階で母さんと夫婦水入らずだ、いてもうるさいだけだしな。


「まあ……お姉様ならこの状況を楽しんでいても不思議ではないわね。相変わらず何を考えているのか謎だわ……。あれでも悪いところばかりではないんだけど」

「まあな、あいつは昔から何考えてるかよくわからん」


 サーシャとルクスが口を開いた。


「『清魂計画せいこんけいかく』についてもさっき話した通りだ。胸糞悪い。ゼニウス様、きっちり処分してくださいよ」

「うむ、それはちと問題じゃしのう……何とかしておく。他に知りたいことはあるかの?」

「ぶっちゃけわからないことが多過ぎて困ってるんだよな……、それに今の説明でまた意味わからんことが増えたし、うーん……」


 神を創造したというなら、ゼニウスが生み出した神は神なのか? それにどうしてあの堕天神や悪魔共は俺の地球の知識の伝承そのまんまなのか? 他にも世界があるのなら、そこでの伝承だって何かしらあるはずなのに、やけに地球の神話の影響が強すぎる…。バラバラになった世界にはどういうものがあるのか、魔界とやらも気になる。そして天使、精霊の存在と特殊能力に特異点か…、取り敢えず聞いてみるか。


「じゃあ『大いなる意思』が神を創ったんなら、ゼニウス様が生み出した神はどうなるんです? それは純粋な神とは異なるのでは? アリア達には悪いが、その『大いなる意思』が直接創ったんじゃないなら神の定義はどこにあるんですか?」

「なるほどのう、お主はやはり目の付け所が違うと見た。余の権能は『神創造ゴッド・クリエイション』というものじゃ。お主の武具・魔法創造の様なものと思えばよい。それによって神を生み出すことができる。だが凄まじい力を使うため数千年に一度使えるかどうかという能力でな、多用はできん。そして余はその権能で自身の神格の一部を複製コピーし、生まれて来る新たな神に授けることができるのじゃよ。だが何を司るのか、どんな権能を持つのかは生まれるまで曖昧、アリアがはっきりとした権能を持って生まれたのは大虐殺に対する神々の気持ちが一つだったため。その思いを纏めて神創造で生み出したからであろうな。非常に稀なケースと言えよう。それに余達神々も男女間に子を儲けることができる。余は両親や兄弟もおるが、それは創造した両親が産んだ子達なのだからな。一人で全ての神々を生み出すことは不可能じゃよ。だがどの神も余の系譜ということは変わりないがな」

「そうか……要はゼニウス様の神格を遺伝子の様に引き継いでいるか……。他の神々の間に産まれても元々はゼニウス様の神格から、ということか。よし、これは理解した。じゃあ魔神はどうなるんだ? アンタみたいな大神的な存在が魔神の側にもいるってことにならないか? じゃないとそんな被害が出るほどの大規模な大戦なんて起きるはずがない。互いに同じくらいの戦力だったと考えるのが妥当でしょう?」

「……ふむ、それについてはそこのイヴァリースが答えじゃろうな。彼女は恐らく呪われた剣で自我を失い、世界に破壊をもたらした。そういった者達が魔神の側に魅入られ神格を植え付けられる。『大いなる意思』が創造した『原初の魔神』は7体。奴らがそういった不幸に陥った者や負の感情が大きい者達に神格を植え付けたことで生まれたのが魔神側の勢力なのだ。彼女の様に元は普通の人族だった者達であろう。カーズよお主が呪いを解いたことで弱まっていた呪縛から完全に解放されたのであろうな。そして始まりの世界は様々な種族が共生しておった、ここニルヴァーナの様にな」


 そういうことか……、しかしそいつら『原初の魔神』はまだ生きているのか? もし存在するのであれば非常にタチが悪い。魔人、悪魔がやっていることの上位互換だしな。だが取り敢えずこのイヴァリース、名前からしてイブリース、ユダヤ教やキリスト教のサタンに該当する悪魔のことだろうが、彼女は安全ということになるのか……。


「そいつらはその大戦で斃したんですか?」

「いや……、逃げられた。そこの二人は知っておろう」


 オッサン人形がサーシャとルクスを指差した。なんだよこの機能は……。

「あー、あいつらかー。しぶとかったもんなあ」

「そうね、七色の魔神とか言っていた様な気がするけど……」

「マジかよ……、ならそんなのがもしかしたらその辺にいるってことだよな」

「むう……だが大戦以降、姿を見せなくなって久しい。どこにおるのかも謎じゃな。だがあの闘いで力の大半以上を失っておるはず。何処かで力尽きたのかも知れんし、眠りについておるのかも知れぬ。超大破壊オーバードライヴの被害の後始末と、捕えた魔神共の封印が優先じゃったからのう。さすがに手が回らんかったわい」


 互いに犠牲者がたくさんいたのなら仕方ないだろう。逃げた連中を追う余裕などないはずだしな。


「じゃあバラバラになった世界ってどういう世界があるんですか? 地球も恐らくその一つなんでしょう? 魔界とか、そういうのも存在するってことですよね?」

「大まかなものとしては『天界・エリシオン』と各々の神々の部屋の様な空間である『神域』、輪廻転生を拒否した者達が安らかに暮らす『あの世』、『浄土』とも言うが、この3つは強く結びついておる為、そこまで離れておらん。そして死者の罪を裁き、魂を浄化して再び輪廻の輪に乗せる世界を『冥界』、『地獄』とも言う。そして『魔界』とは魔物に輪廻した罪深き者達が集まる世界のことじゃ。普段は固く閉じられているが、魔王復活ともなれば凶悪な魔物がそこから溢れて来ることになる。魔王領というのはそこへ通じるゲートが存在する場所。これはどの世界でも同様、人類種を団結させるための処置として致し方なしじゃのう。後は『精霊界』、『幻獣界』や『神獣界』とも呼ばれておる、お主の契約した精霊などが住む世界じゃな。精霊はあらゆる自然現象などを司る力を持っておる。その能力は魔素を介して使う魔法と違い、霊素エーテルというもので発現されるのだが、如何せん扱いが難しいのでな。普通の人類種には不可能、神の力に近いかも知れんな」

「ほう、そしてその神獣であるグリフォンを狩りまくってた奴があのポンコツという訳だな……」


 後ろに座っている猫被りを見る。分かり易く気まずそうな顔をしてるなあ。


「いやー、あははは……。まさかそんなに問題になるとは思いませんでしたよ」

「お主は趣味に走り過ぎるからのう……、神獣とは我らも上手く共生せねばならん。異常気象を起こすことになりかねんからのう」

「はーぃ……」

「もう職務怠慢すんなよー、情報不足で振り回されるのはこっちなんだからな」

「うぇーぃ」


 何だその返事? まあいい、これは推測だが世界がバラバラになったときに人種ごとにバラバラになったのかとも考えられる。地球や過去のニルヴァーナみたいに人間だけが住んでいる世界もあるなら、同様にエルフだけ、獣人だけという世界もある可能性が高い。元の大世界を知っているから進化の過程に変化を付け加えることができたのだろうな。そう考えると辻褄が合う。


「じゃあ元々同じ世界なのに俺達の因果が狂ってしまったのは、次元や時空が捻じ曲がった先の世界に無理矢理粗削りな技術で魂を飛ばしたからということなのか…? どうです、ゼニウス様?」


 右に座っているアヤの手を握りながら聞く。


「察しがいいのう、お主は。まさしくその通りじゃろうな。超大破壊オーバードライヴが生み出した次元の捻じれは想像以上じゃった。元々同じ世界であっても異なる次元、異なる世界の様になってしまっていた。世界樹で辛うじて繋がってはいるものの、そこまでの負荷がかかることになるとはのう。そんなところにお主達二人を飛ばしてしまったことを申し訳なく思う」


 オッサン人形が頭を下げる。


「いや、もうそれは済んだことだし。謎が解けて良かったですよ」

「そうです。御陰でまた彼に会うことができましたから」


 アヤもフォローしてくれた。


「じゃあ次は天使に精霊の特殊能力とかいうやつだ。アリアは突然説明なしでぶっ込んで来るから意味がわからないことばっかりなんですよ」


 見たら目を逸らしやがった、絶対反省してないな。


「ふむ、なるほどな。これについてはファーヌスの方が詳しいじゃろうな、代わるとしよう」

「おう、俺だ。神器は役に立っている様だな、カーズよ」


 俺っ娘お姉ちゃんに代わると、人形がファーヌスの形になった。何だよこの無駄にすげえ技術は。


「ああ、お陰様で。だがまだまだ俺自身が成長しないといけない。ファーレも蠅も逃げられてしまったしな」

「そこまで追い詰めたんだ、誇っていいさ。それで天使やら精霊について聞きたいんだな?」

「ああ、天界でもそういう存在は見なかったし。それに特殊能力ってのが何か知りたい。ここに丁度良く精霊もいる。出て来い、ルティ」


 ボムッ! っと俺の膝の上に出て来るルティ。ちょっと成長した様に見えなくもないが、雰囲気で見てわかる程能力が上昇しているな。


「お、どしたんー? 急に喚ぶやなんてー、って何や会議でもしてんのかいなー?」

「まあいいからちょっと聞いとけ」

「ほう、精霊を使役したのか。相変わらずぶっ飛んだことをやってるみてえだな。まあいい、先ずは天使についてだが、お前達は既に目にしている。お前達と対話し、力を貸してくれる武器のことだ」

「神器?! そうか……確かに神器は対話ができる。神が使う天の武器だから天使か……、なるほどな」


「だがそのせいで主が堕天すると、その天使である神器まで堕天することになる。名前や能力が変化したりと色々と厄介なシロモノなんだよ。だから俺が管理しているってことだ」


「ありがたく使わせてもらってまっせ、お姉様」

「ええ、いつもメンテナンスも感謝しています」

「サーシャの言葉は本心だろうが、ルクス、お前は舐めてんな。次会ったらしばくからな。カーズよ、多少の傷なら神器、天使は神格の中で自己修復するが、大きな破損をしたときは俺に見せるようにな」

「なるほど……、そういうことだったのか、わかったよ。ありがとうファーヌス。よし、天使は理解できた。次は精霊のことだ。ルティ、お前は何の特殊能力を持っているんだ?」

「うーん、ならウチの手に触れながら、強い武器を想像してくれへんかー?」

「精霊も同様に武器化の能力を持っている。そして俺が手を加えて創ったのとは違う、その精霊特有の力が込められた武器になるのさ。神器にも引けを取らん。扱うのは非常に難しいがな」


 みんなから少し離れたところに移動する。精霊武器ってことか…。ならばいつも通りのソードのイメージをルティの手に利き手で触れながら、流し込むイメージを構築する。


「お、おおお……、キタでキタでー!」


 カッ!!! ピキーィイイン!!!


 眩しい光と共に、透き通るような白銀に輝く刀身に、柄に白と黒の鳥の翼のデザインが施されたソードが顕現された。凄まじい力を感じるが、重い! 何だこの重量は!?


 ズンッ!


 支え切れずに地面に落とす様に突き刺してしまった。こんな重いモノ振り回せる気がしないな。


「何だこれ、重すぎるぞ……」

「ハハハッ、カーズよさっきオヤジが精霊は霊素エーテルで力を発揮すると言っただろう。それが扱えなければ精霊武器は扱うことはできないんだよ。体内で魔素マナ霊素エーテルに変換することができなければ扱うことは無理だな」

「……まあ俺にはニルヴァーナがあるからいいけど、アヤには神器が必要だからな。もしこれが使えればアヤの神器を創る手間は省ける。アヤ、試しにこれを持ってみてくれ」

「うん、神器レベルの武器ならありがたいし、ルティ、私に試させてね」

「ええでー、キミも特異点のアヤやったなー。試してみー」


 アヤが剣の柄を掴む。


「あ、流れがわかるかも……。ルティの中にある流れが霊素エーテルなんだね。この感覚、確かに魔素マナとは逆の流れに感じられる。外から取り込むのが魔素マナなら、体内を循環しているのが霊素エーテルということなのかな……? じゃあその循環を逆の流れで取り込めば……」


 アヤの体内で循環している魔力の波長が変わった? いや、全く別の力の循環が起こっている。


 スッ……、ピキィーーン!!!


 アヤが軽々と精霊剣を引き抜くと、形状がレイピアの様に変化した。マジかよ……すげえ、さすが『魔法の天才』とあの王国で言われていただけある。


 ビュビュン!!! シャラアアアン! シュバアア!!


 まるで重さを感じていないかの様にレイピアを振るう。星の様な輝きが振う度に現れる、神秘的な光景だな…。


「ふぅ……、でもこれは慣れないと長時間は難しいかも。ルティこれから一緒に鍛錬してくれるかな?」

「ええでー、いやーいきなり精霊武器を振り回せるとは、すごいわー」


 元の姿に戻るルティ、暫くは出しっぱなしにしておくか。ヨルムは竜王の里に置いて来てるしな。


「とんでもない才能がいたもんだな…。初めて手にする精霊武器をあそこまで振り回せた人族はいないだろうさ」


 よし、これで天使に精霊の謎は解けたな。うーん、後は……


「あ、そうだ! 疑問が次々に湧いたせいで大事なことを忘れていた。特異点が7つ揃ったとか天界でも迷宮内でも奴らは口にした。混沌の時代が来ると……。俺達は他と多少異なるってだけだろ? 特異点って言葉をやたらとあいつらは口にする、一体何があるってんだ?」 


 後は地球の伝承の濃さだな……。わからないことが増えると変な方に脱線するんだよなあ。










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肝心なところを先に聞かないとw


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