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 実は、ゴーフルさんの故郷でもあるドール星では、ここのところ気候の温暖化が深刻に。それによって死者が続出するという状況にまで陥った為、同星の女王の命により、人々は皆『人形の身体』に内臓を移し替えられ、なんとか難を逃れたそうなのです。


 で、やはり人形というだけあってその身体は、表情が固定されてしまうものの、冷暖房完備。常に、理想の温度が保てる構造になっているとのこと。


 そして、このゴーフルさんもまた、同じく身体なのだそうで…なるほど、どうりで、さっきから無表情にして、喋っても口が動いていなかった訳です。


 さておき、その後のこと。ドール星よろしく、温暖化が著しい幾つかの他星にも、人形の身体を提供しようという、余計なお世話…もとい、大変親切なプロジェクトが、同星は女王ル・アンドロ・ウメダ・ガレットさんの下に発足。結果、地球その他3つの星に、白羽の矢が立てられました。


 かくして、それら計4つの星から(人形化させるべく)サンプル・・・・を1名ずつ選んだ上で、その者たちをドール星へ誘う使者として、ここ地球にはゴーフルさんが遣わされた。それが事の次第です。


 いかにも。そのサンプル・・・・というのが、この史都さんです。


 がしかし、あえて言わずと史都は、とっくに人形です。


 だけに彼女が、


「でも、ゴブールさん〜…人形といえば、私も〜…」


 名前を間違えている人をゴブリンみたいにのはともかく、その着脱式の頭部を外してみせれば、


「ええっ…!」


 たちまちゴーフルさんドびっくり。


 そこで、なぜかゴーフルさんも頭を外すや、互いにそれ・・を交換して装着してみたり…って、なにをやってるんですか、あなたたちは。


「こ、これは何かの手違いだったようです」


 史都の身体のまま、ゴーフルさんが言えば、


「ですよね〜」


 負けじと(?)史都も、ゴーフルさんの身体のまま返します。


 にしても、黒服の史都もなかなかイイ感じです。落ち着いた雰囲気に見えますしね。


 とか言ってる間に、列車は反転。再び、地球は中登呂駅を目指すことになりました。


 いやはや、なんだか人…じゃなくって、人形・・騒がせですね。

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