7

 …その列車が、宙へと舞い上がったではございませんか!


 あらためて見るに、計11両編成。それが今、まるで大きな龍の如く、天へと昇っていきます。


「どうりで変だと思ったら、空飛ぶ列車です〜。でも、これなら早く目的の駅に着けそうです〜」 


 はて、んな喜んでていいのか。とにかく史都が、その空飛ぶ列車の窓から、広がる青空や眼下の景色を眺めています。


 でも、呑気なのも途中まで。やがて、その景色が徐々に黒く変貌を遂げるに、


「なんだか、宇宙にまで来てしまったみたいです〜」


 やっとこ気づく人形彼女。


 そう、実際に当列車は宇宙空間へ。いまや史都の眼前には、星々の輝きが点々と窺える以外は、黒一色の闇が広がっています。あ、向こうに見えるのは月ですね。潮の満ち引き等、いつもお世話になっております。


 それにしても、この列車の正体や目的やいかに。このままでは、どこへ連れて行かれるか、分かったものじゃありません。


 と思ったら、


「いかがですか、この宇宙快速4126号は…」


 なにやら1人の若い女性が、史都の席の脇へとやって来ました。


「あの〜、あなたはどなたですか〜。で〜、この列車は一体〜…」


「私の名はゴーフル。そして、この列車は宇宙快速4126です」


 その踵近くまで伸びた金色の髪が、取り分け印象的。黒のコサック帽やケープ付きワンピ、さらに同色のブーツを纏ったスーパースレンダー美女が、無表情かつ落ち着いた口調で返します。


「そう、これからあなたは、私と共に当列車で終着駅の《ドール星》へ行き、そこで『人形の身体』を手に入れるのです」


 なんて、ゴーフルさんなる美女が、さらに続けましたけど…


「『人形の身体』って何ですか〜」


 それ(=人形の身体)なら、すでに所持済み。その史都が、ゴーフルさんに尋ねます。


「ええ…それは、これこれ云々で…」


 という、ゴーフルさんの説明によりますと…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る