4

 その後、大登呂駅まで戻っては来たものの、もうぼちぼち・・・・お昼になってしまいます。


 ゆえに、当駅前から土岐雄の会社までタクシーに。と思ったら、まもなく同南口ロータリーへ出たところで、慌てていたせいでしょう、史都は躓き転んでしまいました。


 が、大事な彼のお弁当は死守。また、どうやらラジカセも無傷で済みました。


 済みました…けれども、代わりにといってはなんですが、その衝撃によって、(そもそも着脱式の)自らの頭部が外れてしまうというアクシデントが発生。


 おまけに、それはロータリー内の車道に転がったのみならず、ちょうどそこを通り掛かった車に、ばいーんっ…と弾き飛ばされる始末。


 かくして、数メートルほど宙を舞った史都の頭部は、当ロータリー周辺を囲む歩道の一角に落下しました。


 きゃあああーっ!


 ひいいいぃーっ!


 いきなり飛んできた、人の(じゃないんですけどね、実は)頭を目に、いきおい通行人の間から悲鳴が上がります。


 さらに、不気味さゆえに他ならず。いまや身体だけとなった姿でもって、その自らの頭部を拾いに向かう史都の前は、パッと道が開くといった状況に。


 そんな中、


「お騒がせして、すみませんです〜」


 無事(?)、史都は頭部を回収。で、それを再び我が身に取り付けると共に、まるで何事もなかったかのよう、タクシーに乗り込みました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る