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 やがて、最寄り駅から電車に。目指すは、6つ先の大登呂おおとろ駅です。


 で、前駅で急行に乗り換えた人が多かったせいか、比較的空いている車内、乗り込むと共に史都は、適当な席に座りました。靴を脱いで、窓の方を向きながら…って、昭和の子供かっ。


 それはさておき、そのまま電車に揺られることしばし…


 残り2駅となった頃、ようやく史都は、普通の体勢に戻りました。


 どっこい、彼女と来た日には、そこで何やらウトウト。小説執筆に勤しむ余り、遅寝早起きだったせいか、とにかく眠り込んでしまいました。


 すると、どうでしょう。ふと目覚めてみれば、なんだか薄暗い空間が、自身の回りに広がっているではありませんか。


 して窺うに、そこは傘からバッグから、はたまた金剛力士像からペットのハシビロコウまで、実に様々な物が置かれた雑多な一室と判明。


 なるほど。ここは駅構内の《遺失物管理室》に違いありません。しかも終点の。


 ええ、そもそも人形だけに、眠って身動きしなくなってしまえば、ただの。それゆえ史都は、当駅の駅員さんにより忘れ物・・・として、ここへと運ばれてしまったのです。お弁当とラジカセを手にしたまま。


「これは大変です〜」


 ちらと壁のアナログ時計を確認。同じくして史都は、急ぎ当室から飛び出していきました。

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